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クラシカルなブレイクを横目に丘を上り、閑静な住宅街を進むとあらわれるスクエアの家。
Rの効いた集合体と塗り壁の質感は至極オーガニックかつどっしりとした佇まいで、ここを訪れる人々を受け入れんばかりに青空の下、扉を開いている。
この建物は、鎌倉界隈で住宅の設計・施工を請け負うテピーハート西尾氏の自宅兼ショールーム。
鉤型の家屋に囲まれたガーデンポーチには、樹齢200年といわれるオリーブの古木をシンボルツリーに迎え、この家でまず最初に足を踏み入れる心地よく開かれた憩いの場を創造している。
「コンセプトのひとつにしたのが、“人が自然と集まる家”。
下階はプライベートとパブリックなスペースとがゆるやかに溶け合うような空間づくりにしてあるんです」
1階部分はスウェーデン製の木製サッシを採用し、LDKへとつながる大開口扉、玄関、そして店舗スペースへのエントランスと、建物への入口が3箇所もある。
そして、屋内へ進むとすべての空間がモルタル土間でつながっている。
これは多人数での集まりも演出しやすい設計だ。
「禍で家にいる機会も多くなり、働き方もより自由になったことで、少しお金をかけてでも視覚的に凝ったデザインを新築に組み込むお客様が増えています。
公私の空間がゆるやかに融合し、開かれたスペースには近しいコミュニティにいる人々が集まり、それぞれが好きな小商いにつなげられるような場を棲み家に付加することは、住まいのひとつのスタンダードになってくると思います」
撮影当日も店舗スペースでは地元作家のワークショップが催され、どことなく賑やかだった。
そして隣はLDK。
DK部分は三方が重厚なRの壁で囲まれ、まるでイスラム圏の建造物をイメージさせる、この家のシンボル的空間だ。
正面にはひと筋の長いカウンターが設られており、ここでも空間は感覚的に外へと開かれている。
通りがかりにフラッと吸い込まれてしまいそうな眺望も、“人が自然と集まる家”のコンセプトデザインと言える。
「ここは、わたしたち夫婦にとって2軒目の家なんです。
前の家は子育てもしていた、家族を守るために内を向いた家でした。例えば、外界とプライベートを遮断するため敷地を塀で囲ったり、家の窓を小さくして中庭をつくったりするのが、わかりやすい例です。
そしていま子離れをし、夫婦で再び地域のコミュニティと積極的な関わりを持ちたいと考えて建てたのが、外に開いたこの家です。
昔と違って人生は長くなり、さまざまなライフステージで家をフランクに住み替えていく時代に変わってきていると感じます」
もうひとつ、時代を反映しているのが、家を建てる若い世代のモノを大切にする再生の意識だ。
時間をともにしてきたテーブルなどの家具を、新しく建てる家の空間や雰囲気に合わせてリメイクして使い続けていくカップルも多いそうで、テピーハートはそのお手伝いもしている。
事実、オフィスの一角にはDIYの域を超えた、さまざまな工具がセットされていた。
「弊社が掲げるもうひとつのテーマが“再生”です。
この場に集まってくれたサーファーやスノーサーファーの面々も再生をテーマに活動しています。
今日は来れなかったけど、みなさんもよく知る再生家、シェイパーでリペアマンの(小玉)ジョージとも、このテーマでオリジナルのインテリアをコラボしていく予定です」
ニューノーマル、コミュニティ、再生ーーエッジーなキーワードを多く含んだテピーハートの住空間プロデュース。
ピンと来た読者は一見の価値ありだ。
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DATA
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種別:注文住宅
居住者構成:夫婦+母
構造・規模:木造在来工法2階建て
敷地:307.61㎡(93.05坪)
建築:114.13㎡(34.52坪)
延床:169.58㎡(51.29坪)
設計:テピーハート
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