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「バーチが生み出す唯一無二のサーフボード。
その良さを皆さんに知っていただきたいんです」
――トオル
若かりし頃からフリーサーファーとして突出した才能を示してきたライアン・バーチ。あらゆるボードデザインを乗りこなすサーフスキルは世界屈指。さらに、彼はシェイパーとしてもオンリーワンのポジションを確立している。かつてリチャード・ケンビンらの導きによりオルタナティブボードのディープな世界に引き込まれて以降、シェイプに目覚めた彼の才能は瞬く間に開花していった。ホームとするサンディエゴ・エリアの環境にも影響を受けながら、今ではスキップ・フライをはじめとする多くのレジェンドたちがその才能を高く評価している。そのシェイプはひと言でいえば自由奔放。シェイプを心から楽しんでいるのがボードからも伝わってくる。なかでも代表作のひとつ「スクイット・フィッシュ」は、ハイパフォーマンス・フィッシュの先駆けとして、カルチャーに影響を与えた一本といえるだろう。
さて、前説はここまでにして本題へ移ろう。
そんなライアン・バーチの才能を早くから評価し、積極的にボードを仕入れてきたショップがオッシュマンズだ。カジュアルな大型セレクトショップというイメージをお持ちの方も多いと思うが、じつはかなりマニアな視点をもつ老舗であることを、この場を借りて記しておきたい。そんなオッシュマンズから、新たに11本のボードを入荷したという情報をいただいた。もちろんすべてライアン・バーチのハンドシェイプだ。
本日はスペシャル対談として、スクイット・フィッシュだけで50本以上を所有する筋金入りのライアン・バーチ愛好家 “tk_chas” ことトオルさんをゲストに迎え、オッシュマンズのバイヤーを務める長瀬浩輝さんとともにライアン・バーチのボードの魅力を深堀りしていこう。
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Blue. 今回入荷した11本のボードは出来合いのボードではなく、すべてオッシュマンズのオーダーだと伺いました。長瀬さんはバイヤーとしてどんなところにこだわりましたか?
長瀬 まずはグラッシングです。これまではボトムをクリア、デッキ~レールにかけて色を入れるようにしていました。今回はその逆パターンや、両面にカラーを施したボードもあります。グラッシングはすべて「ラミネーション・サンディエゴ」のアレックス・ヴィラロボス(通称スーパーウルフ)にお願いしています。また、101のバンブーフィンもこちらからのリクエストですね。
Blue. 今回のラインナップにも含まれていますが、従来のイーグルノーズに加えて、ラウンドノーズのスクイット・フィッシュもありますよね。バーチはいつ頃からラウンドノーズをシェイプしているのですか?
トオル 僕の記憶では、カスタムボードをのぞけば3年ほど前からラウンドノーズのフィッシュを削っていると思います。
Blue. トオルさんはどちらも所有されていますか?
トオル 両方乗っています。僕の好みはイーグルノーズですが、波が小さかったり、トロ厚めのコンディションではラウンドノーズもすごく楽しいですよ。
Blue. 両者はノーズが異なる以外にもデザインのちがいがあるのですか?
長瀬 ノーズ以外の基本デザインは同じだと思います。ただしハンドシェイプなので、ディテールのさじ加減は一本一本ちがいますけどね。基本的にスクイット・フィッシュはパフォーマンスに優れたシェイピングで、重さもクラシックなフィッシュよりやや軽いです。そのため「乗りこなすのが難しい」という声もありましたが、ラウンドノーズはやさしいフィーリングを得られるので、お客様に提案できる選択肢が広がりバイヤーとしては嬉しいですね。
トオル フィッシュに慣れていない方が乗りにくいと感じるのは、キールフィンの影響かもしれませんね。最初はターンが引っかかるように感じると思いますが、そこを思いきり踏んばって蹴り上げると気持ちよく伸びて加速してくれるんです。
長瀬 今回、フィンをすべて101のバンブーフィンにしたのも、よりアクションを軽快にしたいと思ったからです。グラス製のフィンよりやっぱり軽いしフレックスもあるので、マニューバビリティを追求するバーチのフィッシュと相性がいいんですよね。
トオル 僕も最近スクイット・フィッシュをオーダーするときは101です。しなり具合がいい。ルックスだけならラリー・ゲファードのゲッピーフィンがついていたらテンション上がるんですけど、操作性を考えたら101のバンブーフィンが個人的にはベストなんですよね(笑)。
Blue. その2つの選択、悩ましいなぁ(笑)。さて、スクイット・フィッシュのテールはオーセンティックなサンディエゴ・フィッシュよりテール幅がやや狭いですよね。ボードのセンターからテールにかけて、よく見ないと分からないほどの曲線を描きながらワイズを絞り込んでいます(写真参照)。この絞り込みの幅は、一般的なウイングの約ひとつ分くらいに相当すると思うのですが、他のフィッシュとはやっぱり乗り味が変わりますか?
トオル たしかにウイングひとつ分くらいかもしれません。この絞り込みもあってやっぱりターンが切れるし、回転性に寄与していると思います。僕は彼のボードに出会う前はクラシカルなサンディエゴ・フィッシュばかり乗っていたので、初めてスクイット・フィッシュを見たときは独創的すぎて少し受け入れにくかった。でも、実際に乗ってみるとこれまで味わったことのないフィーリングで、すっかりハマってしまったんですけどね。気づけばスクイット・フィッシュだけで50本以上所有するバーチマニアに……(笑)。
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