Tags
「いま進行中の子育てや将来のこどもたちの通学のことも考えると、最寄駅が徒歩圏内だったり、公園が近かったりする立地条件はマイホームを持つ上で優先順位の上位にありました。
ここの土地自体は検討していたなかでも利用価値が低いとされているものでしたが、スターホームのプロジェクトマネージャー・尾見さんや、設計士・松野さんのアドバイスから、工夫次第でその利用法は如何様にもなることを知り、決心がつきました」
施主である田中さんファミリーが購入したのは、入り口が細く長く奥に進むにつれて敷地が広がる、フラッグの形状をした、いわゆる旗竿地。
しかも四方を隣家に囲まれているため、空間の広がりとプライベートの確保が困難と見るのが一般的な見解だった。
そのような条件のもとスターホームが提案したのは縦型ルーバーで外からの視線を遮った、中庭を設えたコの字型の家。
(リビングから中庭を臨む。この空間こそが小さな土地というデメリットをメリットに変えた。すべては設計次第という好例)
近隣と接する家の外側には明かり取り程度の小さな窓だけを配し、大きな窓やサッシはすべて中庭に向かって開口したことにより、デメリットに感じていた小さな空間に気持ちのいいヌケ感がくわわった。
くわえて、2階の屋根の高さまで伸びるデザイン性に富んだルーバーが、家のどの部屋からでも見えるファサードとなり、視線をクールに演出してくれる。
「敷地の細長い部分は駐車場として利用することもあり、どうしても建築スペースは限られます。そこで、屋内はできる限り扉や仕切りをなくすことで、中庭の存在と同様、よりゆったりとした住空間をつくり上げたんです」
(玄関土間。ゆとりを持たせて利便性を上げる。左手奥にはシュークローゼット。右手のサッシから中庭に出られる)
(一切の仕切りがないLDK。正面奥左手が小上がりの和室になっている。テレビの上、隣家と接する家屋外側の壁面はこのように窓を小さくしてプライベートを確保。一方、左手の中庭側は壁さえつくらず最大限に明かりを取り込む)
ご家族の暮らしのなかで、旦那さまの光一さんは職種柄、勤務時間が不規則な場合もあり、また奥さまの梨乃さんは主婦としてキッチンに立つ時間が多い。
そんなとき、料理や洗い物をしながらでも大人一人の目線でこどもたちがいるフロア全体を見渡せることは、気持ちのゆとりも生んでくれる。
「家全体が、どこにいても家族の気配を感じられる構成と仕様になっていて、それが安心感にも繋がっています」
(奥さまの梨乃さんが「一日のなかでいちばん長くいる場所」だと話すキッチンはとても美しく整頓されていた。家全体を通じて家具は極力置かず、収納に収めるという考え方)
(こちらも美しく整頓された洗面スペース&ランドリー。右手にはトイレと浴室、背後は洗濯物を干すための屋外デッキへと繋がっている)
1階部分は、玄関扉をくぐると広めの土間が敷いてあり、シュークローゼットも完備。
フロアへ上がるとLDKと小上がりの和室が中庭を囲むように構成してある。庭を通った自然光が和室の琉球畳の緑と合わさって穏やかな明るさを演出してくれる。
中庭には縁側とシンクも設えられていて、星空のもとアウトドアでの食事も充実しそうだ。
リビングの隅、階段下はキッズスペース。
常設のベンチは、座ったり、ものを置いたり、収納したり。なにかと使い勝手が良さそうだ。
さらに蹴り込みのない階段は空間の広がりを妨げない。
(階段下のキッズスペース。将来的に勉強机なども置けるように空間のつくりを考えた。デッドスペースの有効活用)
(梨乃さんたっての希望であった和室。「収納も欲しいけど広い空間も欲しい」ときは吊り戸棚を採用するといい)
2階へ上がると広めの踊り場があり、書籍を立ち読みできるような本棚スペースになっている。
そして上階も中庭を囲むようにまず、洗面、ランドリー、トイレ、お風呂と水回りが一体になったスペース、将来こども部屋として考えているフリースペース、そして主寝室とが配されている。
「明るい2階部分にLDKを持ってくる案もあったのですが、こどもたちやたくさんの荷物を持って階段を上り下りするのは現実的でないなと。代わりにお風呂からベッドへ、ランドリーから物干しスペースへ、と暮らしの動線をより明確にしました。
くわえて、土間や和室、階段上の踊り場や水回りなど、家族の供用スペースを広く取ることにもこだわりました。
一見無駄に思える空間こそ、ゆとりを与えてくれると思うんです」
設計による工夫や考え方の転換で限りある土地を有効に活用し、より豊かな気持ちで暮らせる住まい方。ぜひ参考にして欲しい。
***
DATA
–
種別:注文住宅
居住者構成:夫婦+こども2人
構造・規模:木造在来工法2階建て
敷地:129.20㎡(39.08坪)
建築:57.13㎡(17.28坪)
延床:106.60㎡(32.34坪)
(梨乃さんが特にこだわったもののひとつがこの浴室。広さ、明るさ、タイルをはじめ空間全体のデザイン性。日常でもリゾート気分を味わえそうだ)
FISH FRY JAPAN with Bird’s Surf Shed 2025【御礼】
Nov 14, 2025
名作映画とカルチャーを体感。『BILLY’S TOKYO CINEMA』11月22~23日に開催!(入場無料)
Nov 12, 2025
Blue.108号 特別付録:Ron Herman コラボカレンダー Photo by Jack Antal
Nov 10, 2025
Copyright c BLUE.ALL RIGHT RESERVED.