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「かつて南房総に祖父母の別荘があって、こどもの頃の夏休みはずっと海であそんでいた記憶があります。
おとなになってからはハワイなども身近になり、いつかは“毎日に海がある暮らしを”とずっと憧れを抱いてきました。
そうして巡り合ったのが、ここ葉山の海でした」
小野さんファミリーは以来、ここの山の手に賃貸物件を契約し、毎週末を過ごすようになった。
それと同時にここ葉山で、将来自分たちが棲む場所も探し始めた。
「簡単に見つかると思っていたら大間違いで。ほぼ毎週末リサーチを続け、結果6年という歳月がかかりました。
最終的にベストな場所に巡り合えたと思っています」
(サンセットビーチである葉山の海を喚起させる絵画。夕方になると壁の向かいの窓には同じ色の空が広がる)
(プライベートサイドの玄関ホール。左手はスタジオへの入り口、正面は娘さんの部屋、右手の階段は2階の居住スペースへとつながっている)
そこは、行きつけだったカフェ。台風で被災した建物を解体する現場に出会した。
すぐに馴染みの不動産会社に連絡を取った。購入できるか調べてもらい、可能だとわかると即決した。
ビーチまで歩いて行ける距離と、津波にも強い高台に位置し、資産価値もある理想的な立地だった。
(葉山の海辺に広がる青い空の下、白亜の建物が映える)
設計・施工をお願いしたのは、葉山が地元のスターホーム。
とある建築集でその名を目にし、過去に目ぼしい中古物件が出た際、そのドアを叩いたことがあった。
「突然訪問したにもかかわらず、とても親身にお話しを聞いてくれて。
葉山の地勢をよくご存じなのはもちろん、夢追人としての社長のお人柄や企業の姿勢にも感銘を受けました。的確な助言もあってそのときは購入を見合わせましたが、『将来家を建てるならこの会社で』と心に決めていましたね」
設計は、具体的な間取りよりもまず、奥さまの亜季さんがつくってきた“夢ノート”がベースになった。
これは、これまで彼女が思い描く住まいのイメージをスケッチしたり、言葉に残したり、雑誌の切り抜きや旅先で撮り貯めた写真などをスクラップしてきたもの。
「このノートのなかに集めてきた私の憧れの数々を、この家のさまざまな場所に採用してくれて。
その細やかさが嬉しかった」
(2階はアーバンシンプルなLDK。旦那さまは京町家をリノベーションしたバケーションレンタル“ケンプトン”の仕掛け人として現在京都在住。「ひとりの時間も満喫いています」と亜季さん)
理想をすべて詰め込んだのは、2階にあるキッチンと主寝室。
美味しいものとお酒が大好きな亜季さんにとって、キッチンは聖域だ。
「私の背の高さから、過去のどの家のキッチン規格にも不満がありましたが、いまは快適。新鮮な食材が日常的に手に入るので、料理をするのも楽しくて。
昨夏は泊まりにくるたくさんの友人たちとグラスをかたむけながら次々にお皿を振る舞いました。民宿の女将さんみたいに(笑)」
そして寝室は、彼女がこの家でいちばんのお気に入りの空間だ。
「なによりも、私にいちばん気持ちのいい家にしたくて、ベッドルームにはこだわりました。
重さのある鉄製吊り戸はイメージ通りのものを採用したくて、くまなく探した結果、京都のとある鉄工房に出会って。自分で探すのは大変でしたが、一生に一度の買い物、後悔したくはないですもんね」
(リビングと寝室を仕切る重厚な鉄の吊り戸は亜季さん好み)
1階は、プライベート玄関の他にもうひとつ、スタジオへとつながる赤い扉のパブリックな玄関がある。
こちらの玄関土間は亜季さんセレクトの小さなギフトショップになる予定だ。
そしてその奥には、ハワイをモチーフにしたスタジオがある。実は彼女、フラ歴14年のベテランダンサーでもある。
「葉山はアクティブなご年配も多く、そういった方々にフラの魅力を伝えたい。もうひとつは、ヨギーニの方々が悪天のなかでも屋外で教えている場面をよく目にするんです。そういった方々にも活用してもらえたらと思っています」
(パブリックサイドの赤い玄関ドアはヨーロッパの田舎がイメージ)
(ハワイの海をイメージしたターコイズブルーが眩しいスタジオ。亜季さんがフラを教えるためのスタジオとして、またヨガの先生などに貸し出すレンタルスペースとしても機能させる予定だ)
自然環境が豊かで、住人たちの距離感も程よく、街に美食や文化がしっかりと根付いている葉山。亜季さんはこの土地にすっかり魅了され、子育てを終えた第二の人生の夢の先を歩み始めている。
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DATA
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種別:注文住宅
構造・規模:木造2×4工法2階建て
敷地:230.35㎡(69.68坪)
建築:69.54㎡(21.03坪)
延床:132.47㎡(40.07坪)
設計:スターホーム
(プライベートサイドの玄関。海外住宅のエントランスを彷彿とさせる鉄格子は京都の工房でオリジナルで仕上げてもらった)
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