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大きな木製のスライドドアに白亜の外壁。
屋内外双方からアクセスできる、サンシェードセイルたなびくデッキからは、碧い空を映し出す凪いだ湾に浮かんだ小舟が見える。
まるでヨーロッパの見知らぬ土地の小さなホテルに迷い込んだかのようだ。
この建物は、LED照明に関する企画・演出・製造などを手がけるX-ECOというブランドを切り盛りする高須氏がオーナー。
経営者である氏は、別事業でX-CABINと名付けたオリジナル キャンピングトレーラーの製造・販売も手がけている。
敷地内にはそのプロトタイプが置かれ、陽が落ち始めるとセンサーによってLEDに照らされた敷地全体が浮かび上がる設計だ。
なるほどこの場所は、ここを訪れるお客さまに両ブランドを見て、聞いて、体感してもらうための展示場として、またくわえて社員たちが余暇を過ごすためのアネックスとして、その両方の役割を担っている。
今後はふたつのブランドと関わりのあるさまざまな人びとが行き交う場として機能させる予定だという。
そういったわけで、一般的な住宅に比べてあらゆる面で大人数を想定した空間のつくりになっている。
「僕がみんなでワイワイやるのが好きなのもあって、キッチン、リビング、アウトドアデッキと、この建物のどこにいても15人規模で余裕を持って集える空間をいくつも確保したんです」
コンセプトならびに大枠の設計を高須氏が描き、スターホームが実地の建築設計に落とし込んだ。
佐島の海を臨む2階のLDKでは、広いキッチンを使ってみんなで料理をし、完成したお皿を前にゲスト全員の顔が見渡せる大きく長いテーブルを囲む。そんな豊かな時間がイメージソースだ。
「もうひとつ工夫したところは、家族でも、カップルでも、またひとりであっても、あらゆる立場の人びとが快適に宿泊できる就寝スペースを設けたことです」
2階の一室と1階の二室はそれぞれツインや2ストーリーのベッドが複数置かれ、訪れた人びとの構成人数によって寝室を最適に割り振れるようになっている。
1階の高須氏ご夫妻の主寝室には専用のトイレやバスルームが設えられており、ゲスト用には別のお風呂や洗面がしっかり用意されている。なのでお互い気兼ねなくプライベートタイムも過ごせるのだ。
さらにはここが展示場というだけあって、もちろん外のキャンピングトレーラーもゲストルームのひとつとして数えられており、実際にお試し就寝もできる。
「トレーラーは3人までが横になれる設計なので、希望があれば寝室として使ってもらっています」
目の前の道路を挟んですぐはビーチ。非日常的空間で、潮騒のなか微睡むのも悪くない。
若かりし頃からずっと海を愛してやまない高須氏。
身体の状態もあってサーフィンからは遠ざかったが、いまでもSUPやカヤックに興じ、船舶での航海も楽しんでいる。
この場所を選んだのも、敷地からほんの数歩で海へとアクセスできるという、氏なりの利便性に対する考え方からだ。
「本社機能がある名古屋のオフィスも港湾からすぐの水辺に在って、桟橋に船を停めてあります。ここ佐島にもすぐそこにマリーナがあるので、やろうと思えば僕にとってはドアtoドアの環境だったりするんです。いいでしょ?」
なるほど。
部屋のインテリアやディテールに船を思わせるイメージが感じられたり、また実際に船舶で使われるような部材や素材が要所で使われているのも頷ける。
訪れる人びとがワクワクできるこのアネックス。
船に乗った気分でマインドトリップして欲しい。
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DATA
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種別:注文住宅
構造・規模:木造在来工法2階建て
敷地:195.92㎡(59.2坪)
建築:90.26㎡(27.3坪)
延床:140.15㎡(42.39坪)
設計:スターホーム
「ブランドの精神“True To This”が このお店に息づいている」 ── 脇田泰地さん(Volcom Store Shibuya)
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