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自分でつくってギアへの愛を再確認。パタゴニア「ハンドプレーン・シェイピング・クラス」に親子でトライ!

自分でつくってギアへの愛を再確認。パタゴニア「ハンドプレーン・シェイピング・クラス」に親子でトライ!

ノーズ、テール、レール、ロッカー、コンケーブ……。

サーフボードにはたくさんの曲線があって、それらが混ざり合うことで、波に乗るためのひとつのデザインができあがる。

そして、これはハンドプレーンもまったく一緒だ。サイズはサーフボードよりずっと小さく、手のひらよりすこし大きいくらい。それでも立派な波乗り道具で、サーフボードと同じカーブがぎゅっと集約されている。当然、デザインによって乗り味も変わる。

もしも皆さんがサーフボードのデザインやシェイプに興味があったり、それぞれの曲線が織りなすバランスを考察してみたいなら、まずはサーフボードの前に、ハンドプレーンづくりにトライしてみたらどうだろう?

いま世の中にあるサーフボードのほとんどはPU(ポリウレタン)やEPSが主流で、ラミネートに使う素材や作業環境、そして廃棄の都合を考えたら、素人が簡単にボードづくりに手を出せる状況とは言い難い。でも、ウッドのハンドプレーンであれば自宅でのDIYも可能だし、費用もぐっと抑えられるはずだ。

ハンドプレーンづくりに難しい工具は不要。家庭でも揃えられる内容だし、場所も取らない

かつて、サーフボードはサーファーが自作するのが当たり前だった。

パイプラインを制したジェリー・ロペスも、ツインフィンでワールドチャンプとなったマーク・リチャーズも、トライフィンを生んだサイモン・アンダーソンも、みんな自分なりのアイデアをデザインに込めて波に挑んだ。でも「作り手」と「乗り手(買い手)」がくっきり色分けされている今日、世界中のサーファーのほとんどはボードづくりを経験したことがなく、それが普通となっている。

まぁ、サーフボードを作ったことがなくたって波乗りは楽しめる。でもサーフィンに限らず、みんな人生のどこかで、こう思ったことがあるだろう。

「自分で作ったモノは、たとえそれがパーフェクトじゃなくたって愛おしいし、たくさんの学びを与えてくれる」 ってことを。

というわけで、2024年6月末、パタゴニア・サーフ千葉で開催されたワークショップ「ハンドプレーン・シェイピング・クラス」にお声がけいただき、参加してきた。

ただし、今回作るのはワタシ用ではなく、娘用のハンドプレーン。じつは小学3年生の娘のハナがけっこうな海っ子で、しかもサーフィンより「ボディサーフィンが好き」なのだ。

自称「ボディサーファー」の娘ハナ。体全部で波を感じる、そのフィーリングはサーフィン以上にダイレクトだ

考えてみれば、サーフィンというのはボードの上に立つわけだから、ライディング中に波と体が接する箇所がほとんどない。一方、ボディサーフィンは体全部で波のパワーを感じることができる。そのダイレクトな感覚のほうが楽しいと感じるのは、子どもにとってはごく当たり前の反応なのだと思う。

そんなわけで、ここ数年は週末になるたび「海に行きたい」と娘にせがまれ、僕自身もボードをもたずに一緒にボディサーフィンを楽しむ日がけっこう多い。

「パタゴニアでハンドプレーンを作るイベントがあるけど、やってみる?」

そう娘に聞くと「作ってみたい!」と即答。初のマイ・ハンドプレーン。どうせなら自分自身で作ってみればいい。

まずはアウトラインから。「どんな形にする?」 あ、タンクトップの男が父親=ワタシ(Blue.編集 戸井田)です

ワークショップはパタゴニア・サーフィン・アンバサダーの田中宗豊さんと、Blue.も過去にイベントでお世話になったことがあるパタゴニア日本支社勤務の小川透さんが講師を務めてくれた。しかも、素材は「kiriflex」の九州産の桐素材。快晴の芝生の上で、最高の先生と極上の素材に恵まれたワークショップ、なんて贅沢なんだろう。

「テンプレートもあるけど、フリーハンドで思うように線を引いたっていいんだよ」

宗豊さんがにこにこと娘に語り掛けてくれた。難しく考えず楽しむこと、子どもにとってはそれがいちばん成長につながる秘訣だと宗豊さんは熟知している。

ソウルサーファー、ビッグウェーバー、クラフツマン、こだわりのファーマー、素晴らしき好人物、パタゴニア・サーフィン・アンバサダー。すべて田中宗豊さん(右)に当てはまり、トータルするとオンリーワンなお方

夢中になること数時間。だんだんカタチが見えてきた!?

ケガをしないよう工具によっては手を添えて、娘が自力でやれるところは自分でやりつつ、ひとつひとつ作業を進めていった。

ディテールについては僕自身が知りたいこともたくさんあって、先生たちに質問。

「小川さん、レールはサーフボードと同じ感覚でフォイルするのですか?」
「ボトム側をあまり削るとレールから飛沫が上がりやすい(顔に飛沫が掛かりやすい)ので、整えるくらいがいいかもしれません」

なるほど~。となるとダウンレールに近い感覚が良さそうだな。こういうやり取りは僕としても目からうろこ。サーフボードのデザインに通じる気づき、やっぱりあるのだなぁ。

娘はレールやコンケーブという言葉を聞いてもちんぷんかんぷんだけど、それで全然かまわない。いまは頭でっかちにならず、すべて感覚で学んでくれればいい。自分が海で使ったとき、どんなふうに水が流れるのかをイメージするだけで、十分楽しいはずだから。

パタゴニアに勤務しながら、公私に渡ってワークショップを開催し、ハンドプレーンの普及に情熱を注いできた小川透さん

あっという間に数時間が過ぎて、おおかたのカタチが仕上がった。想像以上の完成度!

最後にあまに油を素手で塗り込み、その後は木くず(作業時に出た削りかす)を使って乾拭き。すべての行程が自然由来で気持ちがいい! これはサーフボード作りでは味わえないことだなぁ。

御覧の通り、大満足! 自分で作ったものって、やっぱりいいよね

娘も、他の受講者の皆さんも思い思いのハンドプレーンに笑顔だ。

「じゃあ、お昼ご飯を食べたら、希望者は実際に海でハンドプレーンを使ってみましょう」

そんなアナウンスに「やったー」と娘も再びストーク。8歳にして自作のハンドプレーンでボディサーフィンだなんて、我が娘ながらなかなかマニアック(笑)。ま、このまま海が好きでいてくれれば親としては本望です。

さっそく出来立てのマイ・ファースト・ハンドプレーンでレッツサーフ!
ワークショップ後はパタゴニア・サーフィン・アンバサダーたちによるマニアックなイクイップメント談議

こうして海でも陸でもスタッフや参加者の皆さんとグッドバイブスをシェア。波にも恵まれ、垣根のない笑顔に包まれた。

夜はパタゴニア・サーフィン・アンバサダーの皆さんが店舗に集結してトークショーを開催。イクイップメントに対する思い入れなど、貴重なお話を聞かせていただいた。

隣の席では、早朝からフルスロットルだった娘が充電切れでこくり、こくり……。ボディサーフィンって、じつはサーフィン以上に体力をつかうんだよね。

かくして、親子でともに学び、ともに遊べる最高の一日となりました。

もちろん、ハンドプレーンはその後の夏休みも娘のメインボードとして大活躍。来年はボディサーフィン&素潜りをメインに、親子トリップでもしてみようかな? サーフボードがないなら、リュックひとつで電車で旅をしても楽しいかも。サーフボードに乗るだけが海の楽しみじゃない、そんな当たり前のことを思い出させてくれた娘に、こっそり感謝している父親です。

photo◎Kazuyoshi Sasao
text◎Yuichi Toida(Blue.)
special thanks◎Patagonia Japan

BLUE. 104

2024年11月9日発売

DREAM WAVES  うつくしき波の記憶

2024年11月9日発売

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スタッフ募集のお知らせ。Blue.より

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