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#010 – サーフなお家の実例集

posted Nov 9, 2021

(オフホワイトなレンガ積みの外観は45年前のデザインをそのまま活かしたかっこうだ。そのルックスは浮かれておらず、クラシックモダンな鎌倉の家並みにとても馴染んでいる)
 
 
 
 
既存の旧い住まいは、新築では決して表現できないアジがある。
そこに家主の個性をプラスすることで、他にはない豊かな棲み家が生まれ得る。
今回は、家族の想い出や歴史を家の一部に受け継ぎながらのリノベーションで、
新たな価値を育み始めた住まいを紹介しよう。
 
 
 ***
 
 
 
 

#010

受け継いだ想いを育む家
神奈川・鎌倉

 

 

 

最寄りの駅を降りると、周りの家々とは一線を画すレンガ積みの四角い建物が、抜けるような青空の下たたずんでいる。

 

その風景は明らかに、その先に開けた風景があることをうかがわせる。

 

想像通り、玄関扉をくぐりリビングに足を踏み入れると、そこには一切視界を遮るもののない鎌倉の家並みと、遠くに海が広がっていた。

 

「空気が澄んでいる日には伊豆大島まで望めます。
近くのビーチまでは自転車で約10分。また、最寄りの駅までは徒歩1分もかからない理想的な生活立地です」

 

以前は海沿いのマンション住まいだったが、こどもの成長に伴って新たな場所を探していた。

 

「鎌倉の海沿いはご存知の通り、とても土地が高価だし、なかなか空きも出ません。
新築と中古双方を選択肢にさまざまな条件を探すなかで、タイミングよくこの物件が出てきて。自分の散歩コースにあったのでずっと気になっていた物件のひとつでもあったんです」

 

(玄関ホールからリビングへと続く扉。窓の向こうには鎌倉の家並みと海)
(上階の一切仕切りのないリビング。右手が玄関ホール。この物件のリノベーションでいちばん大変だったのがすべて寸法が異なるフルオーダーメイドのサッシで、業者を探すところから始まった。内装の白壁左官は家族でDIY)

 

購入したのは、築45年の鉄筋が基礎の家。

 

もう当初の図面さえ見つからず、改築はすべて現場合わせの手探り状態。構造のみを残してすべてスケルトンにしたのち、まっさらな状態で一からリノベーションを行なっていった。

 

指名を受けたのは、家族や住まいの歴史をテーマに住空間を手がけるピーズ・サプライ・ホームズだ。

 

「購入時はもっと細かく空間が仕切られていたのですが、リノベする段階で抜ける壁はすべて抜きました。できる限り開放的な空間をつくりたかったんです」

 

(写真左手、オーシャンブルーのドアが玄関扉。アメリカの公共施設でよく見られるパニックハンドルが使われている。右手前はユナイテッドエアラインの’60年代ポスター広告で、実父の形見)

 

丘陵地帯の斜面に建つこの家のエントリーは上階から。

 

玄関ホールから扉を挟んだ向こう側のLDKは前述の通りひとつの大きな空間で、仕切りがない分いつもそこに集う家族の気配が感じられる。

 

玄関ホールの右手には下のフロアへ続く階段がある。構造的に元の位置を活かしながら再構築していった。
家族4人とも靴に愛着があり、その数は膨大。それを受けて階段吹き抜けの両側をすべてシュークローゼットに仕立てて“見せる収納”にしたことで、この家にまたひとつ個性ある空間が加わった。

 

(階段踊り場のウォールは両サイドともシュークローゼットになっていて、ラダーにあがって取る。ほかにもたくさんのポスターやアメリカンな小物が方々に。家全体を通して明るく賑やかな演出が特徴だ)

 

下のフロアは完全なるプライベートスペース。

 

クローゼットを中心に、家族ひとりひとりの小部屋、洗面や風呂などの水回り、屋外にはウッドデッキという構成だ。
かつてWSLを賑わせた名サーファーのネームプレートがあしらわれた収納ロッカーや、デッキに新たに建てられたライフガードタワー風のサーフボード・ストック小屋など、遊び心あふれるサーファーライクな演出も満載だ。

 

下階の中心にあるクローゼットについては、ウェアハウスで使われるような無骨で背の高いアイアンラックに家族全員の衣類が整然と平置きされている。まるでセンスの良いアメカジ店に迷い込んだかのような雰囲気。

 

そして、その周りには小さいけれど4人それぞれの小部屋。家族であってもプライバシーや個々の趣味趣向は大切、という考えからだ。
実際、動物が苦手な姉とペットが欲しかった妹同士、それぞれがストレスなく暮らしをシェアしている。

 

(下階の奥にある洗面とバスルーム。目隠しの仕切りは琉球ブロックを用いて海感を醸成。アクセントはオーシャンブルーの色遣い)

 

そして、旦那さまのプライベートスペースにいたっては、過去にサンフランシスコ湾に浮かんでいたアルカトラズ刑務所の監房をイメージして設えられた独創的な空間だ。

 

「いまは亡き実父が’60年代のアメリカが大好きで、すべてに非常に強いこだわりを持った人でした」

 

かつて自身の住まいにこんなスペースを持ってみたかったというお父さまの念願を、息子である家主がかなえたかっこうだ。

 

(プライベートや個々の趣味趣向を大切にする家族は、4人ともに自身の部屋を持つ。旦那さまのスペースにいたっては、かつてサンフランシスコにあったアルカトラズ刑務所の監房をイメージして設えられている。いつもロフト部分で睡眠をとる)
(リビングからダイニングキッチンのセクションを臨む。シンクのサイドパネルには実家で使われていたアメリカ製の波板鉄板を用いてこなれ感を演出。家族の想い出を新たな家で受け継いだ)

 

 

精神的にも物質的にも伝統を受け継ぎ、新たに価値を育む家。そんな住まいこそ、ピーズ・サプライ・ホームズの真骨頂だろう。

 

 

***

 

DATA

種別:リノベーション
居住者構成:夫婦+こども2人
構造・規模:RC構造2階建
敷地:197.72㎡(59.7坪)
建築:70.92㎡(21.7坪)
延床:123.91㎡(37.4坪)
設計:ピーズ・サプライ・ホームズ

 

 

(機会を見ては国内外よりレアなヴィンテージアイテムを取り寄せているピーズ・サプライ。それらは新しい住まいに自然な形で旧き良き質感を与えてくれる)
(下階に隣接する屋外デッキに新たに建てたライフガードタワー風のサーフボード・ストック小屋。遊び心あふれる演出だ。サーフィンには自転車で通うので、外シャワーも設置した。あえてシャワーヘッドを付けないラフさがいい)

 

 

 

【この家を手がけた会社】

ピーズ・サプライ・ホームズ
www.ps-supply.com

 

 

 


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