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限りなくフラットに近い緩斜のルーフと、軒先にまで張り出した太い構造材。そして軒下の切妻部分のガラス窓が大胆で開放的なルックスのこちらの建物は、デザインソースが手がける「HOLIDAY HOUSE®︎」。
1940~’70年代のアメリカで一世を風靡した「アイクラーホーム」の建築デザインをアレンジしながら、日本の敷地サイズや気候風土に合う設計に落とし込んだ企画住宅だ。
余談ではあるが、アイクラーホームとは、ジョセフ・アイクラーを中心としたハウスメーカーが当時多く手がけていた建売住宅、という位置づけにはあるが、ミッドセンチュリーの代表的なデザイン住宅として、いま人気が再燃。
現存するものは価値が上がっている。
「どうしても平家を手がけたかった」
と語るデザインソース小林さんの理想を詰め込んだ住まいに、施主の横山さんが呼応した。
「ウェブサイトに掲載されていた模型に一目惚れし、『ここの土地に建ちますか?』って相談しにいったのが始まりでしたね」
それに対して、小林さんはこう語る。
「実は横山さんが相談くださった土地物件は、奇しくも私たちが初のモデルハウスを建てようと計画を進めていた場所でもあったんです。
ですから、『もちろん可能です!』とふたつ返事でした」
こうしてお互いのイメージが見事にシンクロし、HOLIDAY HOUSE®︎第1号棟が横山邸として完成したのだ。
エントランスは広めのカバードポーチになっていて、自転車などあまり雨ざらしにしたくないものもスッキリと収めておける。
玄関ドアをくぐると大判のタイルが貼られたホールが家屋の中央を貫く。
通常の家なら廊下という体裁に落ち着くが、その幅を広げ、リビングダイニングとの境界に仕切りを設けず空間を曖昧にすることで、半土間ともホールともいえる豊かで自由なスペースが生まれた。
メインフロアであるLDKは、やはり仕切りのない20畳余りの大空間。
いちばんの特徴は“ヌーク”と呼ばれる三方を窓に囲まれたボックス型のスペースを、凸形状で壁面に設えたこと。
小林さんがHOLIDAY HOUSE®︎をデザインした際、もっとも心傾けた空間だ。
そのルックスはアメリカンダイナーの一角を思わせる囲われた空間で、落ち着いてPCや本に向き合ったり、ゆったりとコーヒーを嗜むのにも良さそうだ。
「外観からも、家のなかから見ても視覚的に大きな変化なので、違和感のないバランスを引き出すのに細心の注意を払いました」
そして、ここに置かれているテーブルをはじめ、ダイニングテーブルやチェア、リビングのソファやラグ、それにTVボードや照明に至るまで、HOLIDAY HOUSE®︎の家具の一切はパシフィック ファーニチャー サービスのものを採用している。
それらの家具が家の雰囲気とマッチして、空間に統一感とワンランク上の存在感を醸成する。
新居に似合う家具を自分たちですべてそろえてから入居するのは経済的にも時間的にも至難の技。最低限、基本的なインテリアが最初からコーディネートされているのは嬉しい限りだ。
そして奥様が気になるキッチンといえば、調理がはかどるアイランド作業台が付いた仕様。
その下部には調理用の小型家電などが収納可能で、キッチンの景観をクリーンに保てるところなどは主婦思いだ。
また、食器を洗う手間が省け、結果お財布にも優しい、憧れのミーレの食洗機がデフォルトで装備されているのは、さすが女性目線のデザイン。
さらに、キッチンと洗面台の扉のデザインを白いメラミンとダークウッドという素材で統一し、水回りの見え方を同じにしている。
そういったディテールにも腐心することで、内観全体をより大人らしい空間に創造しているところは、さすがのひと言だ。
元々はリタイアしたご夫婦がゆったりと住む平家をイメージしてつくったHOLIDAY HOUSE®︎だが、結果、その価値は普遍。
世代を超えて愛される家が生まれた。
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DATA
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種別:企画住宅
居住者構成:夫婦+こども2人
構造・規模:木造平屋建
敷地:241.40㎡(73.02坪)
建築:96.52㎡(29.19坪)
延床:84.40㎡(26.43坪)
設計:辻 充晋
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