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#008 – サーフなお家の実例集

#008 – サーフなお家の実例集
(中2階のリビングでリラックスタイムを過ごす朝倉さんご夫妻とピットブルのJくん。北側の窓から得られる直射日光ではない間接的な採光がこの住宅によく似合う)
 
 
 
 
ひと口に“アメリカンハウス”といっても、
土地ごとの気候や文化でその考え方も違ってくる。
まぶしい太陽が似合う家。陰影の美しさが映える家。
今回もバリエーションに富んだ物件を紹介しよう。
 
 
 ***
 
 
 
 

#008

ウエアハウスのような家
神奈川・葉山

 

 

 

葉山の山のなかを走る県道から一本はずれ、急なのぼりが続く細い路地を進んでゆくと、ぽっと閑静な住宅地があらわれる。

 

「この景色に惚れました。友人たちも初めは道中不安に思うみたいですが」

 

窓の向こうに切り取られているのは、樹々が微かに色づき始めた山々と、その奥に輝く江ノ島の海。

 

「いわゆるカリフォルニアスタイルの平屋よりも東海岸の倉庫のような武骨でダークな雰囲気が好きなんですが、自分で一からつくろうとすると結構むずかしい。リサーチするなかで出会ったのが、このデザインだったんです」

 

(ベッドが設置されたスペースの隣はオフィスのような空間。フロアがL字型に構成されつつ、天井の高さやスタイルも変化するので、大きめの家具を置くだけで空間にメリハリを生める)
(外壁と玄関のスチールドアは好きな色をチョイスできて、無限の組み合わせ)

 

BROOKLYN HOUSE®︎。

この企画住宅の準備を進めていたデザインソースの小林さんを夫婦で訪ね、初対面にもかかわらず5~6時間も話し込んだ。
その時点ではまだパースのみが存在する机上の段階ではあったが、会話を重ねるなかで意気投合するのを感じた。

 

「帰る頃には『ここにしよう』と心はほぼ決まっていたよね」

 

奥さまの由香さんはそう明かす。
こうして、ブルックリンハウス第一号棟が、葉山の地に根を張ることとなった。

 

(玄関土間はコンクリート製。微妙なひび割れが経年変化の美しさを語る)
(ベースフロアのダイニングキッチン。天井はラフな表情を与えてくれる米松構造材表し。ダイニングの照明はそのときあるヴィンテージ一点物を都度チョイスしてくれる)

 

玄関をくぐるとコンクリートの土間。自然なひび割れがそこにずっと居を構えていたかのような空気を醸している。
フローリングとの仕切りはフラットで、ベースフロアのダイニングキッチンへと自然に繋がっている。

 

リビングはベースから4段上の中2階。
フロアの高さをキッチンのシンクと合わせてあるので、高低差があっても空間に一体感が生まれ、料理をする奥さまだけが寂しい思いをするようなことはない。

 

鉄骨製の階段を上がっていくと吹き抜け2階のフロアへ。ベッドルームや書斎など、どんな用途でも利用可能だ。
スペースはL字型で、家具だけで空間の仕切りがつけやすいうえ、解放感はキープされたまま。
実際、この住宅で扉という扉は、洗面、バス、トイレなど水回りがまとまったバスルームと、中2階の真下に設けられた6畳の大きな収納庫へ続く扉のみ。

 

総じて、仕切りなく繋がる3層のスキップフロアで構成された高さのある大空間、それこそが醍醐味と言える。

 

(ベッドスペース周辺の壁にはハンガーラックや収納棚をうまく配置してクローゼット調に。ワードローブも整然と陳列すれば見せるインテリアだ。まるでアパレルショップのよう)
(サーフボード、アート、自転車……好きなものに囲まれたオフィスのような、書斎のような空間。内倒し窓がウエアハウス感をより醸成してくれる。こういう窓にカーテン取り付けはナンセンス!)
(2階のベッドスペースから階段を下がって中2階のリビングへ、そしてベンチのような4段のフローリング階段を下りてダイニングへ。ウエアハウスのような構造が楽しい)

 

そしてもうひとつの大きな特徴は、程よくヴィンテージ感が付加された無垢のオーク材、それに黒皮のアイアンで演出された家具や内装だろう。

 

家の表情となるフローリングや階段の鉄骨ササラ、そしてキッチンやテーブル、ソファ、照明に至るまでの一切は、大阪のスクエア ファーニチャーが手がけたもの。
デザインソース小林さんが惚れに惚れ込んだ、ブルックリンハウスをブルックリンハウスたらしめる構成要素だ。

 

(建物に2つだけある扉のひとつ。その向こうはバスルームになっている。建具やミラー、収納ボックスまですべて設置済み。この世界観が好きなら蜜月はいつまでも続く)
(照明はガス管を使ったオリジナルのブラケットが標準装備。良い感じでサビがつく経年変化を楽しもう)

 

さらに、特筆すべき外構は、旦那さまの早人さんがDIYでコツコツと造り上げてきた代物なのだが、デザインも凝っていて、仕上がりもお世辞抜きでプロ並み。

聞けば、これまでの3年間、毎月少しずつ手を加えていったそう。

 

「新築は7割完成で十分で、残りは住む人ご自身が自分の感性で手を加えていくのがベスト」

 

この家をひと目見れば、デザインソース小林さんの哲学が静かに施主たちの心をギュッと掴んでいるのがよくわかる。

 

 

***

 

DATA

種別:企画住宅
居住者構成:夫婦
構造・規模:木造2階建
敷地:172.12㎡(52.06坪)
建築:57.96㎡(17.53坪)
延床:105.98㎡(32.05坪)
設計:敷波一哉

 

 

(施主の早人さんがコツコツと造り込んでいったエクステリア。センスがすこぶる良い上に、ご自身でセメントなんかも練り上げているというから驚きを隠せない。DIY好きに勇気をくれる仕上がりだ)
(サーフボードやアートが自然と馴染む空間、それがブルックリンハウスだ)

 

 

 

【この家を手がけた会社】

デザインソース
www.design-source.jp

 

 

 

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