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5年前、都会の喧騒を離れて材木座の海近くに越してきた
稲葉さんファミリー。アウトドア好きな一家が待望の新居に
選んだのは、米軍ハウスに和風建築の解釈をプラスした
“懐かしくて新しい家”だった。
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週末になると順哉さんは、妻の洋子さん、息子の瑛人くんと連れ立ってキャンプ場やビーチへ出かける。そんなアウトドア好きの稲葉さんファミリーが材木座に新築したのは、光がいっぱいに差しこむ風通しのいい家だ。
「自然のなかでくつろいでいるときの、あのリラックスした時間、分かりますか。今は外から帰ってきても、その感覚がずっと続いているような気がします」
新居の居心地をそう表現した順哉さん。学生時代に湘南でサーフィンを始めてから海沿いの暮らしにあこがれを抱くようになり、5年前に都会から鎌倉に移住。そして昨年10月に念願の一軒家を手に入れた。
一家の住まいに与えられたモデル名“FLAT HOUSE+”は、日本特有の意匠が生かされたレトロな米軍ハウスをモチーフとした平屋に、2階居室を加えたピーズ・サプライの木造住宅シリーズ。
外観は小粋にアメリカナイズされているが、内装には和風建築の趣向が凝らされていて、玄関から一歩足を踏み入れると古風な建具が元からそこにあったかのような顔をして、壁にきちんと納まっている。モダンなデザインなのに、どこか懐かしい気持ちになるのは、アンティークな時代建具の温もりが要所に感じられるからだろう。
「米軍住宅をコンセプトにしてはいますが、家の形はお客さまごとに異なります。しっかりとご要望をうかがいながら、そのライフスタイルまで感じとって、細部までデザインしていくのが我が社のスタイルです」そう話すのは、稲葉家を手がけたピーズ・サプライ代表の小牧氏。 「稲葉さんはアウトドアな生活を求めている方だと分かったので、家のなかにも開放感を盛りこみました」と続ける。
1階部分はLDK。吹抜け天井のトップライトや壁の三連窓など、たくさんのガラス窓があるおかげ
で朝から夕方まで自然光で満たされている。通気性もよく、家のなかは快適そのもの。
「家中の観葉植物がおそろしい早さで育っていくんです」と妻の洋子さんは冗談めかして笑うが、ヴィンテージの木製テーブルやチェアのすきまに青々とした緑が茂るさまは、しゃれたカフェのようだ。
そして、玄関から続く土間は順哉さんのサーフボードを収納するストックヤード。
ロングボードを取り回し、ワックスアップも行えるほど十分な広さがある。玄関扉は正面とボードラック脇の2カ所にり、後者は順哉さんが海帰り、屋外シャワーを浴びてそのまま浴室に直行できる最短ルートだ。
「1階と土間の壁は自分たちで漆喰を塗りました」というご夫妻は、新居のお披露目をかねて友人たちに壁塗り作業を手伝ってもらったこともあるとか。
「この広い土間は、そんな気の知れた仲間たちと談笑するちょっとした憩いの場にもなっています。そろそろビールサーバーを置いてしまいそうで怖いんですけど(笑)」
2階部分は、子ども部屋、夫妻の寝室、書斎に分かれる。寝室は天井からの下がり壁をなくして余白をわざと残した。朝まで気持ちよく過ごせる寝所となったのは、視線の抜けをつくったおかげだ。
順哉さんがリモートワークで使う書斎は、仕事机と椅子、部屋の角に畳があるだけのシンプルなもの。
簡素なつくりにしたのは、限られたスペースを有効に使うため。仕事机は金具を取り外すと折りたた
める仕様になっているので、休日は客間にしたり、趣味部屋にしたりと、使い勝手がいい。
歴史と余白。そのふたつを生かした空間づくりが、住まい手に人生を楽しむゆとりを与える。
「最近、大きなテントを買ってしまいました」という順哉さんは、大好きなサーフィンだけでなく、キャンプにも熱を上げるようになった。9月には会社の同僚家族を誘って山梨のキャンプ場へ遠征する計画を立てているそうだ。
この家には自然と人が集まってくる。休日の山やビーチに人が安らぎを求めて集うように、そういった根源的なリラックス空間が、稲葉家にはあるのだ。
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DATA
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種類:注文住宅
居住者構成:夫婦+子供1人
構造:木造在来工法2階建て
敷地:197.96㎡(59.8坪)
建築:70.59㎡(21.32坪)
延床:101.22㎡(30.58坪)
設計:ピーズ・サプライ・ホームズ
photo◎Yuichi Toida(Blue.) text◎Ryoma Sato
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