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+1で進化する

+1で進化する

 

Blue Surf Club 020
「+1で進化する」

 

 

「クロストレーニング」という言葉があります。読んで字のごとくですが、こういう意味です。

複数のスポーツに取り組むこと。または、メインにしているスポーツをより向上させるために、他のスポーツを取り入れること。

 

サーファーの場合は、サーフィンでは鍛えられない筋力や運動能力を養うためにランニングをしたり、左右で偏りがちな筋力バランスを整えるためにヨガをしたり、という感じです。

僕の場合は、それが結果的に(特にそういう目的で始めたわけではなかったので)ランニングなわけですが、たしかにいい効果はあると思います。列記してみましょう。

 

◎心肺機能を高められる

◎サーフィンでは鍛えづらい下半身を強化できる

◎あっさり減量できた( #004

◎インナーマッスルを刺激できる

◎腰痛がなくなった( #018

◎左右対称に筋肉を使える

◎波がない日も運動できる(心にもよい)

◎新しい学びがたくさんある

 

など。

パドリングで追い込んでも回復が早かったり、たくさん波に乗っても筋肉痛にならなかったり、減量したことでパドリングやテイクオフが楽になったり。腰の改善や筋力の向上により、テイクオフする際の“よいしょ”感もだいぶ改善した気がします。なにより、メンタルを保ちやすい。

ただし、走ったところでサーフィンをしない日が続けば当然パドルはきついです。これはサーフィンで養うか、水泳などパドリングを重視したクロストレーニングをやったほうがいいです。

 

というわけで、今回はサーフィン目線でクロストレーニング候補をいくつか挙げてみましょう。

 

01:ランニング

上記の通りです。なにがいいかというと、お金が掛からない、いつでもできる、本気になれば人生を捧げられるほど追求できる、思ったより楽しい、など。身体的にもメンタル的にも高い効果が望める候補だと思います。マイナス点は、パドリングの強化(筋力面)にはつながりにくいことですかね。

 

01-2:トレイルランニング

基本的なメリットはランニングと同様ですが、こちらは大自然を感じられる、よりアスレチックに近くバランス感覚を養えるなど、ランニング以上にさまざまな運動能力を鍛えられます。超おすすめですが、そもそもの基礎走力が必要なので、ロードでのランニングもいっしょにやりましょう。

 

02:ヨガ

ジェリー・ロペスなど多くの一流どころが取り入れていることがすべての証。呼吸、柔軟性、筋力、メディテーション効果など、やり方次第であらゆる要素を高められると思います。以前、毎日ヨガを教わりながらサーフトリップをしたことがありますが、一度も筋肉痛になることなく、身体もサーフィンもすこぶる調子がよかったです。鍛えづらいと言えば、しいて言えば心肺機能・瞬発力でしょうか。

 

03:水泳

サーフィンのためと考えると、やっぱり水泳が筆頭ですね。僕も30代のときに1年ほど続けた時期があります。パドリングにもいいし、持久力も養えてサーフィンをしても疲れにくいです。ただ、僕の経験でしかありませんが、週3(1回2キロ程度)泳いでも痩せませんでした。水泳はもっともカロリーを消費するスポーツと言われていますが、食事面の意識も、泳ぎの負荷も足りなかったかな……。また、もしサーフィンのために泳ぐなら“スピード持久力”(できる限り速く&長く泳ぐ)を意識したほうが良いと思います。ゆっくり長~く泳いでばかりだと、腕の回転速度がパドリングと違いすぎて、効果が薄いと感じました。あと、水泳とパドリングでは姿勢がまったく違う点も念頭に入れておきましょう。なお、僕が水泳を断念したのは「プールに通う時間」です。すごく楽しかったんですけどね。

 

04:縄跳び

人数こそ少ないですが、僕のまわりにも縄跳びをやっているグッドサーファーがちらほらいます。しかも個性派ばかり(笑)。「すごくいい」らしいです。心肺機能の向上にもカロリー消費にも効果的で、10分の縄跳びが30分のジョギングに匹敵するとか(両者の強度によりますが)。短い時間でどこでもやれる。下半身・腕まわり・心肺機能を鍛えられる。ケガのリスクが低い。など魅力はいっぱいです。サーフィンは膝の負担も大きいので、ジャンプに耐えられる下半身づくりは非常にいいですね。僕もやってみたいことのひとつですが、長続きするかが最大のハードルかな?

 

05:自転車

自転車はクロストレーニングの王道ですね。さまざまなスポーツのアスリートたちが、クロストレーニングのひとつに取り入れています。「ケガのリスクが低い」というのは本当に大きな魅力で、楽しむことも、持久力を高めることも、瞬発力を高めることもできます。ギアとして男心(女心も?)をくすぐる点も欠かせませんね。こだわるとお金が掛かりますが。個人的にはオートバイも所有していたりで自転車を2台持つという選択肢が今のところなく、自転車で海にも行くし(サーフィン中は潮風にさらされます)、屋外保管なので、ちょっと手を出しずらいのですが。

 

06:筋トレ

大なり小なり、多くの方がやっている、またはやった期間があると思います。僕は以前も書きました( #009 )が、現状はあえてやっていません。筋トレは目的や目標次第で、やり方も無限です。いまはサーフィンに特化したトレーナーもかなりいらっしゃって、僕もお話を伺ったことがありますが、とても勉強になりました。おそらくトレーナーに学ぶ多くの生徒はサーフィンに対しても情熱的で、目標がある方が多いです。この「目標」というのがすごく大切ですよね。どのくらいの期間で、なにを達成したいのか。短期か、長期か。瞬発力か、筋持久力か、バランスか、など。なんとなく鍛えるとか、見た目のためだとかえって筋肉が足かせになりかねません。サーフィンでいうと、マッチョな男性より、細い女性の方がテイクオフもパドリングも速(早)かったり、動きがしなやかなケースが往々にしてありますから。

 

07:スケートボード

カーバーをはじめ、サーフィンに特化したスケートボードは、体の動きやフォームを見直すにはすごくいいと思います。なにより楽しいですし。ただ個人的には、スケートボードは素晴らしいカルチャーで、その歴史、感性、スタイルをリスペクトしたいので、陸トレという感覚だけではもったいないとも思います。もしサーファーの視点でどっぷりはまるなら、サーフスケートが最も近いでしょうか。いずれにしても、本気でスケートを愛している人で、強烈な痛みと向き合ったことがない人は皆無。ケガのリスクとは隣り合わせ。やれる場所も限られています。つまり、これはもう文化であって、トレーニングという領域ではありません。やるならリスクを含めて文化ごと楽しみましょう。

 

というわけで、ダラダラと書き連ねましたが、サーフィンは自然とともにあるもの。毎日いい波に出会えるわけではなく、それもまた大きな魅力。いざ波のいい日に巡り合ったとき、最高の自分がそこにいるかどうかは大きいと思います。そのときに備えて「サーフィン+1」のなにかを取り入れるのは、決して損ではないはず。上に挙げたのはあくまで一例。さて、皆さんにとってのベストはなんでしょう?

 

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BSC020_2

 

自宅ワーク中心の日々です。デスク後方のボードラックにはぜんぜん乗れていないNewボードくんが並んでいます。後ろを振り向いては悶々(笑)。でも、こうしてサーフィンがしたくてしたくて……と思う気持ちって本当に大切。あらためて初心に返りました。そんな気持ちもあって、1ヵ月遅れでリリースしたBlue.83号にてすこしでだけそんなことを書きました。Blue.の本分はサーフィンの魅力を伝えること。やまない雨はなく、風は必ずシフトする。サーフィンが教えてくれた自然の理を胸に、再びピュアな気持ちでワッツアップできる日を信じて、いまは風の音に耳を傾けようと思います。

 

つづく(はず)

 

Y.Toida / Chief editor of Blue. magazine.

 

Blue. Surf Club
目次&パーソナルデータまとめ
http://www.blue-mag.com/wp/diary/bsc000/

BLUE. 104

2024年11月9日発売

DREAM WAVES  うつくしき波の記憶

2024年11月9日発売

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