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開発担当者に聞く、アックス・クラシックの新作「HYBRID U-ZIP EVO」はどう進化したのか?

開発担当者に聞く、アックス・クラシックの新作「HYBRID U-ZIP EVO」はどう進化したのか?

フロントジップ・システムがウエットスーツのスタンダードとなって久しい。その潮流をリードするように高い評価を得ているのがAXXE CLASSIC(アックス・クラシック)を展開するシ・ワールド社の「HYBRID U-ZIP」システムだ。その評判は今や海を越えて各国にとどろき、累計販売枚数は1万枚を超えたという。
そんなHYBRID U-ZIPに2024年春、ニューフェイスが加わった。その名も「HYBRID U-ZIP EVO」。スタンダードモデルであるHYBRID U-ZIPから約30%ものパネルレス化を実現したという意欲作は、果たしてどんな着用感なのか? その実力を体感すべく、開発に尽力したAXXE CLASSICのブランド・コミュニケーション・マネージャーである高橋伸郎さん、アンバサダーのチャボこと吉田泰さん、Blue.編集長の戸井田がEVOを着用してサーフ&トーク!

トークの前にまずはEVOを着用して湘南エリアでサーフセッション。チャボさんがゲッティングアウト早々に波をキャッチ

Blue.戸井田(以下:Blue.) いやぁ、楽しかったですね。今日は5月初旬。湘南であれば3㎜フルスーツがちょうどいい季節という感覚ですが、本日は3人ともオール2.5㎜のHYBRID U-ZIP EVO(以下「EVO」と表記)を着用してのサーフィンでした。僕は初めての着用でしたが、水温的には2.5mmでまったく問題なく、むしろちょうどよかったです。チャボさんはすでにEVOを着用してかなりのラウンド数をこなしていて、開発時からテストを重ねてきた高橋さんは、おそらく日本一の着用回数でしょうね。
さて、チャボくんの感想を聞く前に、まずは高橋さんにEVOについて基本的な質問をさせてください。HYBRID U-ZIPが高評価を得ているなか、なぜEVOが生まれたのですか?

高橋 HYBRID U-ZIPを発表して以来、春夏モデルやセミドライスーツなど、さまざまな季節にこのエントリーシステムを採用してきました。その冒険とリファインはこれからも続いていくのですが、それとはまた異なる角度でHYBRID U-ZIPの可能性を探ることができないか? そう思って作ったのがEVOなんです。

Blue. そうなのですね。僕はHYBRID U-ZIPがすでに完成形だと思っていたので、EVOが出ると知って驚いたひとりです。

高橋 HYBRID U-ZIPはEVOが出た現在も最高峰のウエットスーツだと私たちも誇りと自信をもってお薦めできるモデルです。HYBRID U-ZIPの開発にあたり、当時目標としていたのはバックジップ・ウエットスーツのミニマルで美しいシルエットでした。それをフロントジップでも実現したかったんです。

2005年のブランド設立からAXXE CLASSICを牽引してきたシ・ワールドの高橋伸郎さん。ブランドの世界観の構築、ウエットスーツの開発、ワールドクラスのアンバサダーたちのケアまで、多岐にわたって尽力してきた

Blue. たしかに、フロントジップが流通し始めた当時、バックジップより防水性が優秀で一気に市民権を得ましたが、どうしてもジップの存在感が大きくてデザイン面で前進したとは言えませんでしたよね。だからこそHYBRID U-ZIPが登場したときは、よい意味でジップの主張がなくて新鮮でした。そのうえで運動性能も防水性も高いという。今回のEVOは、HYBRID U-ZIPから約30%パネル数が減ってよりシンプルになったわけですが、機能的にもメリットがあるのですか?

高橋 まず故障個所が少なくなります。パネルの数が減るということは、パネル同士をつなぐ接着面や縫製箇所も減らせるわけですから。また、ステッチ箇所が多すぎると伸縮の妨げになると考えたら、生地の伸縮性がより活きる構造と考えていいと思います。なにより、微々たるものだとしても、接着剤や糸の使用量を減らし、環境面において前進していることは私たちにとって意義あることです。

Blue. 新素材の生地「PCX+」もリサイクルナイロンがベースですし、環境的にも優れてますよね。僕は過去にHYBRID U-ZIPは着用してきましたが、EVOは今回が初めてでした。ぶっちゃけたところ、運動性能を含めてどちらも調子がいいので、良い意味で大きな感覚差は感じられませんでした。あえてEVOに寄せた感想を述べるとしたら「とにかく伸びがいい」ことでしょうか。もしかしたらパーツの数が減っていることに起因しているのでしょうか?

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高橋 生地そのものの伸縮性もありますので、パーツ点数が減ったことだけが理由とは言えないですけどね。動きやすいと感じていただけたなら、EVOのデザインがトータルでうまくいっている、ということだと思います。

Blue. ジップシステムの幅と角度がHYBRID U-ZIPより狭くなったのもEVOのポイントですよね?

高橋 はい。ジップの幅が広いと着脱しやすいのがメリットなのですが、ジップの頂点が肩甲骨あたりにくるのを気にされる方もなかにはいます。なので、EVOはジップの幅を狭くすることで、パドリングなどサーフィン時の存在感がさらに感じにくくなっています。

Blue. とはいえ、ジッパーって強度を保ちながら曲線や角度をつけるのは難しいのですよね?

高橋 そうです。ジップというのはまっすぐほど取り付けが容易で、角度がつくほど難しい。だから、多くのフロントジップのウエットスーツは角度があまりついていないものが多いんです。一方で、HYBRID U-ZIPは角度をつけたうえでフロントからバックまで回り込むようなラインになっているのが特徴です。EVOはその角度をさらに狭めたというわけです。

Blue. 開発はかなり苦労されたのでは?

高橋 私はともかく、何度も試作をつくったファクトリーの職人たちはそうかもしれませんね。とはいえ、新しいことにトライするときはいつも試行錯誤の連続で、その末に理想に近づくのが常です。EVOのジップも実際にはさらに角度をつけることだってできるのですが、そうすると着脱がきつくなる。運動性能と着脱のバランスを突き詰めた結果が、今回の角度なんです。

Blue. まさに舞台裏のストーリーですね。では、チャボさんの感想を聞かせていただきましょう。

BLUE. 102

2024年5月10日発売

つぎは、ここに泊まろう

2024年5月10日発売

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