menu

Article

アーティストとしてのルーツと未来。アートイベント「テイク・ファイブ」開催のため来日したレジェンド、ハービー・フレッチャーにインタビュー

アーティストとしてのルーツと未来。アートイベント「テイク・ファイブ」開催のため来日したレジェンド、ハービー・フレッチャーにインタビュー

サーフシーンにその名を刻むリビングレジェンド、ハービー・フレッチャー。1960年代終盤からのショートボード革命によりロングボード人気が急落した時代に、その復権を叫んだスローガン、“The thrill is back!”はサーフィン史を代表する名文句だ。また、世界初のデッキパッド・ブランド「アストロデッキ」の立ち上げや、ジェットスキーを使ったトーインでのチャージなど、後のサーフィンの発展に与えた影響は計り知れない。

その一方で、ハービーにはアーティストとしての顔もある。これまでニューヨーク、パリ、ロンドンといったアートの本場でも個展を開き、その異才ぶりを発揮してきた。

そんな、サーファー、そしてアーティストとして長きにわたり輝かしいキャリアを築いてきたハービーが、2023年5月、アートイベント「テイク・ファイブ」の開催のために来日。会場となったロンハーマン千駄ヶ谷店「R」エントランスで、自身のアーティストとしてのルーツと未来、今回のアートイベントに込めた想いを語ってくれた。

***

――まず今回の来日の目的を教えてください。

一年ほど前からロンハーマンと構想を練ってきたアートイベント「テイク・ファイブ」の開催のために来日しました。久しぶりに日本に来たので、旧友に会ったり、宮崎へサーフトリップに行こうと思っています。

――待ちに待ったアートイベントですね。そもそも、アーティストとしての歩みはどのように始まったのですか?

17歳のころ、サーフフィルムの制作のためホビー・アルター、ブルース・ブラウンとサンセットビーチで同居していたんです。撮影とサーフィン以外はほとんどやることがなく、家や車、レコードジャケットにペインティングしていました。これがアートに目覚めるきっかけ。その後、カリフォルニアに戻ってハービー・フレッチャー・サーフボードとアストロデッキを創設し、サーフボードやデッキパッドの製作はもちろん、ブランド広告をつくったり、商業デザインを手掛けるようになりました。

――サーフィン同様、長きにわたってアートとも向き合ってきたのですね。

プロのアーティストとしての道を意識し始めたのは1997年ごろ。友人であったジュリアン・シュナーベルからプロとして活動していくための術を教わったことがターニング・ポイントでした。その後2002年に、彼の息子ヴィト・シュナーベル(ギャラリスト)が大きなアートイベントをセッティングしてくれて、本格的にアートの世界に入り始めました。彼のほかにも、アートの見方やコンセプトを理解するコツなどはロバート・ラウシェンバーグやサイ・トゥオンブリーに教わり、ジグマー・ポルケの作品からはとても影響を受けています。

――偉大なアーティストからの影響があったんですね。これまで磨き上げた感性を作品に落とし込み、アートシーンを賑わせ続けていますが、今回のアートイベントで展示・販売している24作品はどのようにセレクトされたのですか?

今回、“セピア”をテーマに作品をセレクトしました。過去に撮影した写真とサーフフィルムから一部のシーンを切り抜き、セピア加工を施しています。じつはこの手法は1970年代にサーファーズ・マガジンで働いていたときにアート・ブルーワーから教わった手法なんです。

――アート・ブルーワーといえば2022年に永眠されたサーフィン史を代表するレジェンド・フォトグラファー。言うなれば、サーフィンの歴史を凝縮した作品群ですね。アートイベントのタイトル「テイク・ファイブ」について、デイヴ・ブルーベックの楽曲名からとっていると伺いました。なぜこのタイトルにしたのですか?

テイク・ファイブはビックウェーブに挑む前によく聞いていた、思い入れのある一曲。そして自分の得意なハングファイブと響きが似ているので、タイトルにすることにしました。

――今回は写真を主とした構成になっています。半世紀以上サーフフォトを撮影し続けていますが、いまこの時代に、あなたが撮影したいと思えるサーファーはいますか?

フェリペ・トレド、ガブリエル・メディナ、ジョディー・スミスですね。もちろんグレイソン(クリスチャン・フレッチャーの息子でプロスケーター)とともに育ってきたジョン・ジョン・フローレンスや、以前アストロデッキでサポートしていたケリー・スレーターはいつだって撮影したい。そのほかにはめきめきと上達している、ネイサンの二人の息子ジェットソン(9歳)とレーザー(8歳)。彼らは間違いなくここ数年のうちにプロになるでしょう。

――それではサーファー、アーティストとして自己を確立するために、どんな努力をしていますか?

サーフィンあってのアートだし、サーフィンあってのクリエイティビティ。情熱を持ってサーフィンを続けることがいちばん大切。サーフィンが私の人生を彩ってくれています。

――今後どのような作品を見せていきたいですか?

ビーチには“色”が溢れている。そこからインスピレーションを得て、自分らしさを取り入れた作品を見せていきたいです。そしていま過去に撮影したフィルム写真をデジタル・アーカイブ化し、ひとつにまとめているんです。完成したら、ぜひ披露したいですね

***

ロンハーマン千駄ヶ谷店「R」エントランスおよびカフェフロアにて、ハービー・フレッチャーによるアートイベント『テイク・ファイブ』を開催中。24点の作品の展示・販売のほか、ハービー作のサーフショートフィルム上映やアートショーのために製作したオリジナルTシャツの販売も。こちらのTシャツはハービーが撮影した写真を大胆にプリントし、その写真にまつわる手書きのメッセージが施されている。全10パターンの豊富なバリエーションで、現在オンライン含む一部店舗でも購入可能だ。アートイベントの開催期間は6月19日(月)まで。ハービー・フレッチャーが生み出すクリエイティブな世界観に浸ってみてほしい。

TAKE FIVE | HERBIE FLETCHER
Presented by RHC Ron Herman

■開催期間:6月19日(月)まで
■場所:ロンハーマン 千駄ケ谷店 「 R 」 エントランス&カフェ フロア
■エントランスフリー

>>> https://rhc.ronherman.jp/

translation◎Yohey Yokoi
photo◎2023 Kanata

BLUE. 103

2024年9月10日発売

湘南 前進するサーフシティ

2024年9月10日発売

  1. アマゾンで購入

  2. 定期購読

  3. バックナンバー

Topic

image

スタッフ募集のお知らせ。Blue.より

Article

自分でつくってギアへの愛を再確認。パタゴニア「ハンドプレーン・シェイピング・クラス」に親子でトライ!

自分でつくってギアへの愛を再確認。パタゴニア「ハンドプレーン・シェイピング・クラス」に親子でトライ!

Impression

Y.U SURF CLASSIC Diva 9’6″

Y.U SURF CLASSIC

Surfside House

#027 – サーフなお家の実例集

自分の手で理想に近づける家

Tags

Read all tag

Pickup

Read more

Tags

Read all tag