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Surf Grip “グラフェン・ブーティーズ+”で考察する、ソックス型サーフブーツの是非

Surf Grip “グラフェン・ブーティーズ+”で考察する、ソックス型サーフブーツの是非

「サーフブーツが苦手」なんて言ったら、年間の多くの時間をブーツで過ごす北日本エリアの皆さんに怒られますよね。

それでも、ブーツが苦手というサーファーは一定数いらっしゃると思います。テイクオフで引っ掛かる、素足に慣れていることでの違和感、脱ぎ履きが億劫、など、根っこにあるのはひと言でいえば「いつものスタンダードなサーフィンとのちがい」でしょう。

そう考えると、なにかひとつでも「いつものサーフィンより調子がいい」ポイントがあれば、もしかしたら今よりサーフブーツが好きになるかもしれません。

というのも、これを書いている僕自身(編集/戸井田)が、昨シーズンからメインで着用しているSurf GripのGRAPHENE Booties+ Round 5/6mm(グラフェン・ブーティーズ・プラス・ラウンド 5/6mm)のおかげで、ブーツへの苦手意識をかなり払拭することができたから。

あくまで個人的な実感で個人差は当然ありますが、このサーフブーツ、かなり語りどころが多いので参考がてらレビューを記しておきたいと思います。

Surf Grip GRAPHENE Booties+ Round 5/6mmの表と裏地。もう何ラウンドも履いているのでラバーにワックスが付着していますが、そこはスルーで(以下同)

足袋(たび)型ではなくソックス型
そのメリットと運動性能

まず、このブーツの好みを最も左右するであろうポイントから。多くのサーフブーツはいわゆる足袋型(親指と、その他4本の指が分かれているデザイン)だと思いますが、このGRAPHENE Booties+は足先が割れていないソックスタイプです。

足先が割れていないソックスタイプのGRAPHENE Booties+。ソールのラバーを足の甲へと非対称に巻き込んだデザインでフィット感も秀逸

メリットはずばり「温かい」こと。5本すべての指が接し温めあう(血行に直結する)ので、足袋タイプとの差は歴然です。5本指の手袋とミトンタイプでは温かさがぜんぜん違いますが、あれと同じ理屈です。

一方、運動性能は足袋型とソックスタイプで好みが分かれるところだと思います。

足袋型に慣れ親しんでいる人は、おそらく「足指(特に親指や母指球)の自由度や踏ん張りを感じやすい」という感覚を持っているはず。それはすなわち素足に近いという、サーフブーツに限らず足袋(たび)そのものの特徴です。

でも、それが絶対的な評価なら、もっとスポーツシューズとして足袋型デザインが普及していてもいいはずですが、実際はそうではなく、ほぼすべてのスポーツがソックスタイプ(いわゆる靴)です。足先の繊細な感覚が求められるスケートボードもそうだし、母指球で踏ん張り重心移動を細かく繰り返す卓球もシューズです。

で、僕がGRAPHENE Booties+を使用したインプレッションは、足先が割れているか否かについては「よほどシビアな感覚を求めない限り、運動性能において違和感なし(少なくとも僕のレベルではなんら問題ない)」でした。非対称のラバーの巻き込みをはじめ、いくつかの工夫によりホールド感が非常に高く、ぐらつくことなく踏ん張りが効くのも好印象の理由でしょう。

それにくわえて、GRAPHENE Booties+には運動性能に直結する異なるポイントがあり、これからその点について書いていこうと思います。

凹凸のない足裏のラバーと
引っ掛かりのないつま先

下の写真を見ていただくとわかりますが、まず、GRAPHENE Booties+のソールのラバー素材は凹凸やザラつきがほとんどありません。

GRAPHENE Booties+のソールのラバー。個人的にはこのソールこそBooties+のキモだと思っています

「それだと滑っちゃうじゃん」と思われる方もいると思いますが、では、皆さんの足裏をはじめとする皮膚はどうでしょう? 適度につるつるしていませんか?(肌荒れや皮膚の硬化はさておき) それでもちゃんと機能していますよね。踏ん張ることもできるし、滑らせることもできます。GRAPHENE Booties+のソールも、それと同じだと考えていただければ。立ち上がって体重が乗れば、ソールはしっかりグリップします。サーフワックスによる粘着質の凸凹があるボードの上ならなおさらです。

くわえて、僕がそれ以上にときめいたのが「滑らせやすさ」。サーフボードは本来スタンスの位置を調整しながら乗るものです。ミッドレングスやロングボードなど、レングスが長いボードほどトリミングやウォーキングをするようになります。その点においてGRAPHENE Booties+は力をすっと抜いた時のスタンスの動かしやすさが本当に秀逸。この感覚においてGRAPHENE Booties+はじつに「素足の感覚に近い」のです。

そしてもう一点が下の写真。

注目してほしいのは指先部分で、こちらもまた凹凸がほとんどありません。とてもなめらか。これによるメリットは、テイクオフのときに足先を滑らせやすい(引っ掛かりを軽減してくれる)こと。テイクオフでの引っ掛かりはブーツが苦手な方がよく挙げるポイントですよね。もし、わずかでもそれを改善してくれるとしたら目からうろこではないですか? ちなみに、僕自身は実際かなり恩恵にあやかっていると感じています。とはいえ、足の引っ掛かりをブーツのせいばかりにはせず、腸腰筋(足を引き上げるときに使う筋肉)を鍛えることもお忘れなく。そっちの方がたぶん重要です。

というわけで、長くなりましたがサーフグリップ、GRAPHENE Booties+ Round 5/6mmのインプレッションでした。それ以外の主な特徴も記しておきますね。これは製品ページで公式に解説されている内容なので列記とさせていただきます。

■裏地は熱伝導率が低く、蓄熱効果と速乾性に優れた起毛素材「GRAPHENE(グラフェン)」を採用。ソックス型のデザインと相まって、とにかく温かいです。

■ソールのラバーをアッパー部分に非対称に巻き込み、ブーツ内のズレを抑えたホールド感。履き心地も良好。

■足首トップの内側にスムースラバーを使用し、ブーツ内部への浸水を大幅に軽減。

■内側の接着面は強度と防水を最大限に発揮するテープ加工。

■生地厚はソール5mm、つま先6mm、足首とかかと5mm。

かかとのホールド感もグッド。スポーツシューズなどでは非常に重要視されるポイント
つま先まで裏返せるのもソックスタイプの魅力。生地が厚い分すこしコツと慣れが必要ですが

総じて言える個人的な感想としては、ボードのレングスが長くなるほど足さばきが必要になるので「素足よりいいかも」という瞬間を多く感じられました。とはいえ、5’4″のミニシモンズや5’10″のフィッシュに乗るラウンドでも着用しており、レングスが短いことに不得手を感じることもありません。とにかく足の指先が温かく「末端が冷えないって重要だなぁ」とあらためて思います。

しいて言えば、この生地厚と温かさなら日本のたいていのエリアをカバーできそうですが、もう少し薄い温暖エリア仕様が出る可能性はあるのかな? という疑問だけまだ解決できておらず(もしリリースされるなら買いたい)。ただ、この適度な素材の厚みもグリップやホールド性にひと役買っているように思うので、薄くするメリットはないのかな。後日サーフグリップのご担当者に聞いてみたいと思っています。

サーフグリップ公式サイト「GRAPHENE Booties+ Round 5/6mm」
https://www.surfgrip.jp/products-1/graphene-booties-5-6mm/

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