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「同じレングス、同じモデルでも一本一本のシェイプが違う。
バーチのボードにはハンドシェイプの魅力が詰まっています」
――長瀬(オッシュマンズ)
Blue. すごっ! スクイット・フィッシュだけでお家が建ちますね(汗)。思えば、これまで取材を通してたくさんのサーフボードを見てきましたが、バーチのボードって本当に一本一本シェイプのさじ加減が違うんです。同じレングス、同じモデルでも並べるとそれぞれ違う。まるでひとつひとつのブランクスと対話しているんじゃないかな、と思うくらいです。ハンドシェイプの魅力を実感させてくれるシェイパーですよね。
トオル 僕が所有するスクイット・フィッシュのレングスの多くは5’3″なのですが、フィーリングも一本一本ちがいますよ。また、今日は6~7年前にシェイプされたスクイット・フィッシュを持ってきて、オッシュマンズさんが今回入荷したボードと比較してみたんです。僕が感じたのは、ひとつは旧モデルのほうが全体的にややボリューミーで、現行モデルのほうが抑え気味。もうひとつは、テールのエッジの付け方のちがいです。旧モデルより現行モデルのほうがかなり上まで(センターあたりまで)エッジが入っていますね。実際に触ってみるとよくわかりますよ。
Blue. 本当ですね……。やはり乗り味も異なりますか?
トオル よりシャープになっていると思います。
Blue. 余談ですが、Blue.の実感としてライアン・バーチって取材先で本当に名前が挙がるサーファー・シェイパーなんです。スキップ・フライやカール・エクストローム、リッチ・パヴェル、ジョエル・チューダーなども才能を称えているし、若手のデリック・ディズニーやアレックス・ロペスも彼に大きく影響を受けていると話していました。オリジナリティという点で、やっぱり特別な才能の持ち主なのでしょうね。
長瀬 先ほど話にあった一本一本のシェイプのちがいや自由さは、検品していて僕もよく感じます。それを含めてハンドシェイプの魅力ですが、もし「お客様からの反響がいいから、つぎも同じ仕様で仕上げてほしい」とオーダーしても、きっとリクエスト通りにはならないと思いますね(笑)。
Blue. バーチのような遊び心あふれるシェイパーもいれば、クリステンソンのような正確無比な美しさを表現できるシェイパーもいますよね。どちらも素晴らしいシェイパーというのを前提に。
トオル ライアン・バーチに関しては、購入する側も遊び心をもって選んだ方がいいかもしれませんね。
長瀬 僕が初めて手にしたフィッシュはクリステンソンでした。彼のボードでフィッシュに魅了されて、その後バーチやマッカラムのフィッシュに乗るようになったんです。
トオル さまざまなシェイパーのフィッシュに乗ってきましたが、クリステンソンのフィッシュはパーフェクトですよね。一方、バーチのスクイット・フィッシュはバイクに例えるならカフェレーサー。“性能の良いノーマル車を器用にチューンしたカスタム車” という感じ。乗り込んでいくとハマってしまう、そんなボードだと僕は思っています。
Blue. そう考えると、まずはクリステンソンや、サンディエゴの伝統的なフィッシュをシェイプできるジョシュ・ホールのフィッシュなどに乗り、フィッシュ本来の良さを知ってからバーチのボードを手にした方が、特徴や個性差をより感じられるかもしれませんね。しかし……円安をはじめ様々な要因があることは重々理解しつつ、サーフボードが全体的に値上がりしていますね。とくにライアン・バーチはサーファーとしても多忙でシェイプに充てる時間が限られているから、そのぶん希少価値も高いです。
長瀬 シェイプできる数より、求める人の数のほうがずっと多い状況が続いています。でも彼も頑張ってくれていて、以前は納期が一年以上かかることがほとんどでしたが、今回は9か月ほどで仕上げてくれたんですよ。
Blue. もしかしたら結婚してパパになったから、仕事モードなのか、地元にいる時間が多くなっているのかも? でも、価値を知るトオルさん的にはあんまりたくさんは削って欲しくないんじゃないですか?
トオル いやいや、そんなことないです(笑)。バーチが生み出す唯一無二のサーフボード、その良さを皆さんに知っていただきたいと思っているので!
Blue. とっても素敵です! 今度はお客さんも交えて試乗会を開催できたらいいな。オッシュマンズさん、ぜひお願いします!
サンディエゴの伝統を受け継ぎながら
オンリーワンの乗り味を表現する
ライアン・バーチという才能
今回オッシュマンズが入荷した11本から、2タイプのスクイット・フィッシュとツインピンをピックアップしてみた。他のボードも含め、シェイプもグラッシングも秀逸なものばかり。対談の通り、ひとつひとつが個性的でさじ加減も絶妙に異なるので、気になる方はぜひオッシュマンズ原宿店へ行き、現物を確かめてほしい。
SQUIT FISH
5’3″×21″×2 3/16″
¥561,000
ROUNDED NOSE SQUIT FISH
5’6″×20 1/2″×2 9/16″
¥572,000
TWIN PIN
6’7″×22 1/8″×2 15/16″
¥588,500
※サイズはショップ調べとなり、多少の誤差が生じる場合がございます。今回入荷したサーフボードは2024年5月31日より店頭で販売しており、売り切れの際はご容赦ください。
【サーフボードの取り扱い】
オッシュマンズ 原宿店
TEL:03-6804-1381
www.oshmans.co.jp
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photo◎Kenyu
【過去記事のご紹介】
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「ブランドの精神“True To This”が このお店に息づいている」 ── 脇田泰地さん(Volcom Store Shibuya)
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「キャピタリズムに逆行する。本質的なクラフツマンシップ」 ── 柴田浩次さん(Ride Surf+Sport)
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「時代を彩り、文化に深みを増した。特別な存在に今も夢中です」 ── 井上雅昭さん(Hobie Surfboards Japan)
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