Tags
カリフォルニア・マリブの夕暮れ。
海風が流れ込む『ブラザーズ・マーシャル・マリブ・サーフショップ / カルチャーセンター(BMMSS/CC)』
この日、トーマス・キャンベルの新作『YI-WO』のスクリーニングに集まった人々はサーファーだけではない。アーティスト、写真家、ミュージシャン、デザイナー。そして実際に作品に登場しているアレックス・ノストなど、カリフォルニアのクリエイティブなカルチャーを形づくる老若男女が自然とここにいた。

オーナーのチャド・マーシャルは言った。
「トーマス・キャンベルとはかれこれ25年くらい友人関係にあるから、一緒に仕事ができるのは本当に素晴らしいことだよ。こうして地域のコミュニティが集う場として当店を活用してくれて、カルチャーを伝えられることにわくわくしている」
上映開始前、トーマス・キャンベルは映画制作を支えた仲間たちへの感謝を述べながら「この映画は皆さんの想像とは少し違うかもしれない。でも、それもまた魅力だと思う」とほほ笑んだ。作品には彼らしい自由でアーティスティックな感性、そして温かなまなざしが息づいていて、トーマスならではの視点が込められた静かなメッセージは、スクリーンの外にまで心地よく広がった。


10年以上の歳月をかけて完成した作品『YI-WO』は、サーフィンを人生や自然との対話として描いた映像詩だった。フィジー、モロッコ、インドネシア、コスタリカ、ハワイ、カリフォルニアなど世界各地で撮影され、16mmフィルム特有の温度感と粒子感が心地いい。ライアン・バーチやアレックス・ノスト、ジョエル・チューダーらが見せるのは、波と対話するような優雅なライン。オーディエンスたちはその映像美に引き込まれ、会場はやがて静寂に包まれいった。
『The Seedling』『Sprout』『The Present』でサーフカルチャーに大きな影響を与えたトーマス・キャンベルの新作は、今まで以上に抽象的で、芸術的な領域へ踏み込んでいた。彼自身がYI-WOを「祈り」「未知なる深淵への眼差し」と表現しているように、本作は説明を求める映画ではなく、感じるための作品という表現が近いかもしれない。

会場に展示されたアート作品は、完成された美術品というよりも、旅の途中で拾い集められた記憶の断片のようだった。手描きのライン。古い木材。色褪せた布。自然物と人工物が混ざり合い、どこか子供の頃の記憶を呼び起こす。トーマスの作品には、商業的な完璧さではなく、人の手が生み出す温かみがある。


スクリーンに映る映像と、展示されたアート作品、それを包むマリブの風景が混ざり合い、上映会は特別な空気感に包まれていた。







『YI-WO』公式ウェブサイト https://www.yi-wo.mov/
*
Kazue Mizushima
adidas等グローバルキャンペーン、Tony Alvaから、OscarのRedカーペット、ドジャースタジアムのC.M迄。幅広いフィールドで活躍するファッション・スタイリスト。クリエイティブディレクター。ビーチカルチャー好きが高じて愛してやまないL.Aへ移住。Californiaサーファーとウエットスーツアップサイクリング企画を実施する等サスティナブル活動も。
CITIZEN PROMASTER / 冒険と日常をシームレスにつなぐ
Jul 21, 2026
大原洋人&和光大。それぞれのスタイル、それぞれの想い / Rivvia PROJECTS
Jul 9, 2026
「舟が僕たちを見つけてくれたあの日、故郷ハワイに戻る旅が始まったんだ」。約5,000kmにおよぶ太平洋横断の旅を記録した『’A’ā ―故郷に導かれるカヌーでの航海―』の監督、クリス・ミヤシロにインタビュー
Jun 15, 2026
Copyright c BLUE.ALL RIGHT RESERVED.