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自分の体ひとつ分を超える深さになるだけで、異世界へ来た気分になる。水温は一段とひんやりとして、2m先の水面がとても遠い。先をゆく眞木勇人はゆっくりと、さらに深く、深く潜っていった。もしもリーフに囲われた島を訪ねる機会があるならば、ぜひ私たちの舞台である波のその下に広がる世界を覗いてほしい。サーフボードに頼らず沖へ出て、青き世界に包まれれば、私たちはまだまだ海を知らないということに気づくから。

* * *
海を愛していることはたしかだ。
しかし、波に乗るという行為があまりに多くを与えてくれるからか、サーファーたちの多くは自身が身を浸す水面の下に広がる世界に、さほど興味を示さない。ホームとするエリアに依るところも多いが、サーフボードなしで沖に出ること自体、あまり経験がないという人も少なくないだろう。
はるか彼方から運ばれてくるスウェル(うねり)は、陸地に近づくにつれて浅くなる海底の「地形」に呼応し、抱えていたパワーを抑えきれなくなり波となってブレイクする。
日本の場合、サーフスポットと呼ばれる多くがサンド(砂)を地形とするビーチブレイクで、岩礁やサンゴ礁からなるリーフブレイクは割合としては高くない。ゆえに、海中を舞う砂の色や植物性プランクトンに起因し、海水の透明度が高くないサーフスポット(おそらく本州の大半がそうだ)をホームとしていたなら、今日まで海中の景色に興味が湧かなかったとしても仕方がない。潜ったところで何も見えないのだから。ただ、もしもあなたが近い将来、透明度の高い海へ行く機会があるならぜひ進言させてほしい。たいした荷物にならないゴーグルと足ひれは、サーフボードと共に持参していくべきだと。さらにその地がリーフブレイクの宝庫だとしたら、たとえ夏であろうと鋭いリーフからあなたを守ってくれるウエットスーツは必需品だ。たとえば、沖縄のように。

沖縄へ
相変わらず冬と春がせめぎあっていた2024年3月某日。那覇空港へ降りた。曇り空だが気温は23度。予報では、私たちの滞在中はずっと晴れたり曇ったり、雨だったりを繰り返しそうな空模様。それでも最高気温は軒並み20度を上回りそうだ。離陸前の関東は10度を下回っていたが、厚手のアウターを着ていこうものなら着いた途端にお役御免になることは容易に想像できたので、片手に収まる薄手のレインウェアとインナーダウンを羽織ってきた。もちろん、それらも空港に流れる朗らかな沖縄民謡を聞くなり、場違いな気がしてそそくさとリュックにしまい込んだけれど。
旅の仲間は6人。誘ってくれた島崎さん、牧野さんのパタゴニア・クルー、フォトグラファーの安間さん、そしてサーフィンライフの鈴木さんと波伝説の緒方さん、そして私(Blue.戸井田)。サーフィン業界に伝わるやんちゃな武勇伝を聞く限り、20年前であれば成立しなかっただろう珍しい組み合わせだが、そんな時代の流れも含めて愉快なメンツだ。
さっそくレンタカーに荷物を詰め込むも、6人分の荷物と撮影機材、ボードケース3枚をミニバン1台に収めるには工夫とチームワークが必要で、この時点でメンバー全員に協調性があること、さすがパタゴニアの旅はクルマであろうと無駄なスペースを良しとしないこと(車内はパンパンってこと)が確認できた。
ルーフに縦積みした3つのボードケースのいびつさに若干の不安を覚えながら、僕らは那覇のある本島南部を一気に飛び越え、中部エリアへ入った。牧野さんがハンドルを握り、以後、帰路につくまで絶え間なく続くことになる鈴木さんの歓談をBGMにすること1時間弱、今回の拠点となる北谷(ちゃたん)に到着した。潮風でいい具合に風化した色とりどりの建物やアルファベットの看板、道行く人々。町の約51.6%を米軍基地が占めるエリアだけあって、北谷町にはたしかに日本とアメリカ双方の情緒が息衝いていた。



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