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アンドリュー・キッドマンが制作したサーフフィルム『Glass Love(グラスラヴ)』。2000年代を代表する名作として名高いが、その作品の本当の価値を実感するうえで、大切な前提がある。
それは、この作品が「2000年当時のサーフシーンに対する鮮烈なカウンターカルチャーだった」ということ。
この時期、サーフシーンはコンペティティブなスラスターが圧倒的な主流だった。パンクでハイテンポな音楽が競争意識を駆り立て、海へ行けば、足が届くほどの小波の日さえも、細く尖ったパフォーマンス・ショートボードがラインナップを埋めつくしていた。
グラスラブは、そんな画一的で、ときにいびつなバランスを呈した当時の流れに反目するように、サーフィンが備えていた美意識や多様性をあらためて呼び起こした。

アンドリュー・キッドマン自身が仲間と手掛けた多くの楽曲はエモーショナルで、波と美しく調和する映像中のサーフィンとシンクロした。(その音楽性は前作『Litmus』と共にNYタイムズなどでも特集されている)
ミック・マッキーがシェイプしたFISHに乗るガース・ディケンソンの伸びやかなシルエットはサーフィンが自由なものだと、見る人の感性に無言で訴えかける。

ほかにも、冒頭のデイジー・シェーンの桃源郷のようなロギング、自身のグライダーに乗り嬉々として波を滑るスキップ・フライ、シェイパーである父やデレク・ハインドからの影響を受け、シングルフィンやツインキールなどさまざまなボードデザインの可能性を再検証するニール・パーチェス Jnr.。
そして、自身がシェイプしたボードで大波に挑んだビッグウェーバーの先駆者であるパット・カレンは、息子のトムとジョー・カレンのために丹念にボードをシェイプし、息子たちはそのボードを抱えて海原を目指した。
それらのシーンに映し出されるのは、波との調和、世代の継承、クラフツマンシップ、ボードデザインの自由といった、サーフィンが失うべきではない本当の豊かさだ。
そして、現在よく耳にする「オルタナティブ」(別なる選択肢)という言葉がどういう意味なのかを、具体的にイメージすることができるだろう。






というわけで、そんな作品の背景を知っておくと、『Glass Love』という作品をより楽しく見ることができるはず。
2026年10月3日からスタートする「Glass Loveスクリーニングツアー」では、監督のアンドリュー・キッドマン自身も参加し「Glass Love」を初めて日本語字幕版で見ることができる。本当に貴重な機会なので、お見逃しなく!

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