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(写真上_マロイ家はキースと妻のローレン、長女のミリー、次女のジューン、そして長男で末っ子のクレイの5人家族。そこに小型犬のムース、黒い毛並みのテーター、白と黒のキャルの3匹の犬。その他にも馬や牛、鶏など動物がたくさん。敷地内にあるエアストリームは現在ミリーが自室として使っている)
Keith Malloy & His Family
かわいいだけじゃない、
人とともに働く、ランチの暮らしに
馴染んだ犬たち
現代において犬はペットとして飼われていることが多い。ところがカリフォルニアのランチで暮らすキース・マロイの家庭では、犬は牛追いの仕事を手伝う働き手でもあった。
「僕が小さかったとき家には馬、豚、鶏、ラマもいた。そして間違いなく犬はいた。動物を飼うのはマロイ家の伝統。数年前に亡くなった父が最後に飼っていたのが牧牛犬のテーターなんだ」
牛40頭を飼っているキースの家でテーター(オス推定8歳)は牧牛犬として現役で仕事をしている。キースの妻ローレンになついているのはシーズーとブリュッセル・グリフォンのミックス犬、ムース(オス3歳)。そして半年前に長女ミリーの犬としてマロイ家にやってきたのがキャル(メス1歳)。現在マロイ家には3匹の犬がいるが、家族全員の犬というよりもテーターはキース、ムースはローレン、キャルはミリーを主人だと思っていて、つねにそれぞれ寄り添っているのがおもしろい。

「キャルは保護犬なの。保護犬というのは悪い環境やストリートで、もしくは飼い主に見放されて保護された犬のこと。犬を飼いたい人が動物保護団体や保護施設からそういう犬たちを引き取れる仕組みがアメリカにはある。これは全国的なプログラム。動物愛護協会のスローガンは『Adopt, Don’t Shop』(買わずに引き取ろう)。彼らはあらゆる犬種やサイズや年齢の犬を保護し、不妊や去勢、無料のワクチン接種などをして里親が引き取りやすいようにしているの」とローレン。
コロナ禍では世界中でたくさんの人々が不安や孤独感を埋めるためにペットを飼ったが、そのあと飼育放棄される例があとを絶たなかった。それはアメリカも同様だった。アメリカでは法律により、営利目的だけでの小動物の取引の禁止や繁殖業者を規制する動きが各州で見られ、保護された動物の里親探しが奨励されるようになった。カリフォルニアも動物保護のための法律が厳しく、2019年からはペットショップで展示される犬、猫、ウサギは保護団体やシェルターで保護されたものに限られている。さらに里親への譲渡にかかる費用は総額500ドルを超えないこと、譲渡までにマイクロチップの装着や不妊・去勢手術をすることなど細かい条件や義務があるようだ。かわいそうなペットたちの里親になろうというムードが、いま全米中に広がっている。

子どもたちは動物を飼うことで
生きものを世話して愛し
責任をもつことを学んでいく
キャルも保護施設からミリーが引き取った。体は大きいものの1歳でまだ子犬。いまミリーが懸命にしつけをしている。マロイ家では、賢い犬種で忠誠心があり、牛を集めるときによく働く牧牛犬を好む。キャルもまたテーターのように立派な牧牛犬にすべくトレーニングしているのだとか。まずは基本の服従訓練、お座り、待て、伏せ。牧牛犬は従順な犬でなければならない、とミリーは真剣だ。

「行儀の悪い犬を飼っている人が多いけど、たいてい犬ではなく飼い主に問題がある」とローレン。
ミリーもビーチでマナーの悪い犬に何度も出くわしていて、自分の犬はきちんとしつけなければという思いが強い。トレーニングして犬が言うことを聞いたら、ミリーはおやつのご褒美ではなく、抱きしめて愛情のご褒美を与える。だからキャルはその愛情に応え、つねにミリーに従っている。
「どんなことがあってもキャルはいつも私のそばにいてくれる。丘の上の友だちの家に行くとき、ママはいつもキャルを連れていきなさいっていう。キャルが私を守ってくれるから」(ミリー)
ここはランチの中、近所の友だちの家といってもかなりの距離があり、その間にマウンテンライオンなどの野生動物に遭遇することも。娘たちが小川や入り江まで自転車で降りるときも、ローレンは犬を連れていかせる。ワイルドな環境下で犬は飼い主を守る役割も担っているのだ。


「敷地内を走り回っているので犬の散歩には行かない。でも週2、3回トラックにゴミ箱を載せてゴミ出しに行くときに犬たちは走ってついてくる。たくさん運動することを必要とする犬種だから、そのときはちょっと長めに走らせたりする。馬に乗るときにも犬を連れていったりするよ」(キース)
もちろんサーフィンするとき海にも連れていく。ビーチではいつもテーターがホワイトウォーターを追いかけるのだとか。これはハーディング(牛の周りを走り回り群れにして集める)という牧牛犬特有の習性で、寄せては返す波を集めようとしているらしい。
次女のジューンは犬ではなくバニーに夢中だ。いつも抱っこしていて、外出する際も小さなキャリーバッグに入れていろんなところに連れていっている。


「子どもたちが自分の犬やウサギを飼うことはいいことだと思う。生きものを世話して愛する。そしてそれに対して責任をもつということを学べるから」とキースとローレン。ペットは人を癒してくれるかわいい存在、だけではない。長い歴史のなかで犬は人に従い、人とともに働き、人といっしょに暮らしてきた。愛をもって厳しくしつけられた犬はけっして飼い主を裏切らない。そして飼い主も絶対に飼育放棄しない。なぜなら彼らは家族だから。マロイ家には人と犬との理想の関係があった。

photo&text◎Takashi Tomita
この記事はBlue.99号(2023年9月発行)より抜粋したものです。
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