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「舟が僕たちを見つけてくれたあの日、故郷ハワイに戻る旅が始まったんだ」。約5,000kmにおよぶ太平洋横断の旅を記録した『’A’ā  ―故郷に導かれるカヌーでの航海―』の監督、クリス・ミヤシロにインタビュー

「舟が僕たちを見つけてくれたあの日、故郷ハワイに戻る旅が始まったんだ」。約5,000kmにおよぶ太平洋横断の旅を記録した『’A’ā  ―故郷に導かれるカヌーでの航海―』の監督、クリス・ミヤシロにインタビュー

ハワイからカリフォルニアまで、約5,000kmにおよぶ太平洋横断の航海を記録した映画『’A’ā ―故郷に導かれるカヌーでの航海―』。本作でキャスト兼監督を務めたアーティストのクリス・ミヤシロ(通称ミスト)が、「パタゴニア大阪・中之島/アウトレット」と「パタゴニア東京・原宿/アウトレット」での上映会のためにハワイから来日した。風や波に導かれるように海を進み、自身のルーツと向き合った航海を描いた物語。本稿は東京会場のイベントの模様を交えながら、本作に込めたクリスの想いやバックストーリーを紹介しよう。

クリス 宮城 / アメリカ・ハワイ生まれ。オアフ島を拠点に活動するアーティスト、伝統航海士、サーファー、スケーター。2023年、伝統航海カヌー「ホクレア号」で航海術を学び、2024年には木製カヌーでカリフォルニア〜ハワイ間の太平洋横断を成功させる。また自身のアイデンティティや自然との繋がりをアートとして発表。アパレルブランドとのコラボに加え、映画監督としても世界的に注目を集めるウォーターマン。©Nainoa Langer

「幼少期から海がすべて。恐怖もあったけれど
神様や先祖に導かれて、私たちは太平洋を渡った」

—— 2025年に発表された映画『’A’ā ―故郷に導かれるカヌーでの航海―』では、スターナビゲーション(星や太陽、風、波、鳥の動きなどを読み取り進路を定める古代の伝統航海術)を駆使して、カリフォルニアからクリスの故郷であるハワイまでを航海した様子が描かれています。この航海術はどこで学んだのですか?

すべての始まりは、ハワイの伝統航海カヌーであるホクレア号に乗せてもらったこと。それを機にクルーのひとりとしてさまざまなセーリングボートに乗る機会を得て、少しずつスターナビゲーションについて学んでいったんです。

—— ハワイは海洋教育が盛んで、クリスのような優れたウォーターマンが多い印象があります。ホクレア号に乗ったり、スターナビゲーションを学んだりすることは、ハワイでは当たり前のことなのでしょうか?

いえ、決して当たり前ではありません。友人がホクレア号のリーダーであるハウナニ・カネを紹介してくれたことがきっかけで乗船する機会に恵まれたんです。そして、その1年後に今回の航海をともにしたカヌー「’A’ā(アア)」と出会いました。

—— 映画のタイトルにもなっている『’A’ā』は、カヌーの名前だったんですね。

そう。「’A’ā」は略称で、本当の名前は『ナホクホクレアア』。ハワイ語で「星に導かれるカヌー」という意味を持ちます。じつは今回の航海をともにした私のパートナー、ケイリ・マックヴィリはカリフォルニアで生まれ育ったのですが、祖母がハワイ出身。もうひとりのメンバーであるカラーニ・アラパイはハワイ島の出身。当時、私たち3人はカリフォルニアにいながら、それぞれがハワイという故郷とのつながりを持っていました。そして2024年、私たちはカリフォルニアで「’A’ā」と出会ったんです。ただ、私たちがカヌーを見つけたというより、“カヌーが私たちを見つけてくれた” という感覚のほうが近い。「’A’ā」との出会いで“故郷に導かれているんだ”という強い思いを抱くようになり、航海に出ることを決めたんです。

—— 「’A’ā」との運命的な出会い、そしてそれぞれのルーツが重なったことが、この航海のきっかけだったんですね。とはいえ、挑んだのは約5,000kmにおよぶ太平洋横断の航海です。美しいだけではなく、海の脅威を知っているからこそ、不安や恐怖を感じることはなかったのですか?。

一応コンパスは持っていたのですが、初日に壊れてしまいました(笑)。結果的に自然からのメッセージを読み取りながら、舵を切らざるを得ない状況になったのです。もちろん恐怖はありました。でも、私たちの先祖や神様が見守ってくれていることを心の底から信じていたんです。自分たちにできる最善を尽くし、あとは大いなる存在を信じて前へ進む。そうやって恐怖を乗り越えていきました。ただ、皆さんにお伝えしておきたいのは、私は決してマスターセーラー(熟練の航海士)でではないということです。いまも熱心な学生のような気持ちでセーリングと向き合い、日々学び続けています。

サーフィンや自然に対する価値観を共有し、互いにリスペクトし合う。今回の上映会の実現に尽力した田中宗豊はMCとして登壇。宗豊さんが手がけたクラフツマンシップあふれるパイポボードを手に取り、再会の喜びをわかちあった

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